第2回 台湾労働環境セミナー(14年1月17日実施)


コラム 経営 人事労務 台湾事情 作成日:2014年1月28日

ワイズのセミナーリポート

第2回 台湾労働環境セミナー(14年1月17日実施)

記事番号:T00048369

 皆さまこんにちは、台湾では忘年会シーズン真っ盛りですが、飲み過ぎて体調などを崩さぬようお気を付け下さい。さて、今回は去る1月17日に行われました、「3時間でまるわかり!台湾労働環境セミナー(以下、労働環境セミナー)」のもようについてご紹介いたします。

 今回の労働環境セミナーは、日台間で異なる労働関連法規について、豊富な実例を挙げながら解説をさせていただきました。質疑応答では参加者さまから真剣な質問が飛ぶなど、活発なやり取りが行われた他、講演中も大変熱心にメモをとっておられ、台湾の労働法規について、理解を深められたようでした。今回は参加者の皆さまへの特典として、弊社が作成した、日本語の「最新版の労働基準法」を贈呈させていただきました。

 まず、開講に当たっては、弊社董事長、吉本康志よりあいさつがあり、講師の紹介と本セミナーについての重要性、ワイズならではの独自性について強調いたしました。

 第1講では弊社協理の陳逸如が「~人事労務のプロが解説~労働関係法規の概要と最新の改訂動向」と題し、経営者が知るべき台湾の労働基準法の概要として、日台比較や台湾人からの視点を織り交ぜつつ、全体的な解説をしました。


労働基準法について熱心に解説する弊社協理・陳

労働争議は日本の数十倍

 日台間の特徴的な違いとして、台湾では労働争議が年間4万~5万件と日本の数十倍多く、労働関連法規の重要度が日本とは比較にならないほど高いということが指摘され、その上で雇用者との労働争議を回避するために、事前に労働契約にリスクとなりそうな部分を盛り込んでおくべきとのアドバイスや業務内容の決定方法について実際の書式例を挙げました。

 次の最低賃金や残業代についての説明では、台湾特有の点として、管理監督者(管理職)に対しても残業代支給義務があるものの、日系企業の84%が未払いである現状と共に、労働契約上の対処方法を示しました。また、変形労働時間についても、労働時間の上限が1日10時間で週48時間、さらに2週間で84時間を超えないとされているなどの概要の他、労働組合か労使会議の同意の上を得なければ実施できないとの注意、実施上の具体的な労働時間配分についても説明しました。

 この他、有給日数の支給方法について、ほとんどの在台日系企業が有給休暇の買い取りを実施しているとの調査結果が示され、取得の際のトラブル、買い取りを行わない方法の解説、労働基準法が規定している週1日の休息日と中央政府が雇用者の労働を禁止している休日(元日や228記念日、中秋節を始めとする記念日など)についても言及がありました。

臨検対象企業の特徴も

 さらに、行政院労工委員会(労工会)に直接インタビューを行った労働検査(臨検)対象となる企業の特徴も紹介され、労働法違反が多い企業および土木作業など労働災害による死亡率が高い企業が標的になるとの説明があり、臨検内容では労働安全措置、労働条件、法令順守事項などが調べられるなどの注意点についても指摘をしました。また一般解雇と大量解雇の手続き上の違いや定年退職の考え方の比較もあり、法改正が行われた退職金の計算方法などについては、新旧規定の紹介を織り交ぜながら紹介をしました。労働災害、異動、セクシャルハラスメントなどについても丁寧に解説しました。

縮まる日台企業間の給与差

 第2講では弊社副理の佐々木緑が「~経営者がしっておくべき~労働事情と台湾ビジネスマナー」として、在台日系企業161社、7,778人の協力を得て、職種、役職、学歴、年齢、性別、業態別に分析をした労働事情について解説しました。

 まず全体の給与動向として、台湾全体の経常性給与(基本給や固定手当など。賞与などは含まない)の月額が上昇する中、日系企業と台湾企業との差が、2006年の約1万2,000台湾元から13年には約1,100元まで縮まっていることを指摘しました。ボーナスなどを加えた年収でも同様の傾向が見られました。

 佐々木は調査結果から、在台日系企業の中では製造業の経常性給与が低迷しており、地域別では製造業の多い南部ほど平均値が低く、役職別では監督職の経常性給与の上限が比較的低く設定されている傾向にあるとの分析を示しました。

評価による昇給が大半

 次に13年の在台日系企業の昇給状況として、ベースアップを実施しない企業が75%ある一方で、評価による定期昇給を実施する企業が76%に上るとの結果が提示されました。

 佐々木は、昇給幅を3~5%としている企業が大半で、定期昇給を実施する企業の割合が11年の81%に比べて減少しているが、台湾企業はベースアップの概念が薄く定期昇給と同様に捉えているとの指摘を行った上で、昇給状況では上位20社のうち、電子と金融関係が各5社と半分を占め、3%前後の昇給を実施したと説明しました。

 また、日系企業の社員旅行や忘年会などを含めた福利厚生の実施状況の説明があり、在台日系企業が犯しやすい間違いとして、福利委員会の積立金から忘年会費用を支出してはいけないと指摘しました。

 台湾企業の慶弔金事情の紹介では、勤続年数や役職などに関係なく、一律に支給されることが多い実態を指摘し、最後には経営者のためのビジネスマナーとして、簡単なチェッククイズを行い、忘年会でのマナーや紅包(祝儀)、白包(香典)の金額、文化的背景などについての説明を行いました。

 今回のセミナーを通じて、労働関連法規の重要性と無知の怖さを再度認識させられ、知らぬが仏と言いますが、恐ろしいものだと痛感いたしました。

ワイズコンサルティング 岡崎孝之

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