記事番号:T00111686
第31話 【今回のご質問】
質問:中小規模組織でのDXのやり方を知りたいです。
回答:はい、中小規模組織のDXを考えましょう。
中小規模での取り組み方
日本の中小企業庁によりますと、中小規模の企業をおおまかに製造業では従業員300名以下、その他業種では従業員100名以下と定義しています。
日本では大企業であっても台湾支社は中小規模であることが多々あります。そのため本社からDXを進めるように命じられても、本社なら潤沢な資源を投入できるDX推進も、台湾では思うように進められないという事情を抱えます。
今回から4回に渡って「中小規模組織でのDXの取り組み方」を真剣に考えて参りましょう。
紙削減計画
創立35年の台湾A電子は従業員48名、新しい総経理が赴任されて驚かれたことは、一人一台パソコンはあるもののメールとエクセル、ワードにしか使われていないことでした。社員の机はパソコンから印刷された紙書類であふれていました。
総経理のお話を聞くと「50代後半の管理部長がデジタル化に好意的ではないのです。会社設立当時に新卒で入社した方です。今でこそメールとエクセルは使えますが、当時は紙と電卓での業務でした。会社からITに関する教育指導を行ってこなかったのは事実です。デジタル化に不安や抵抗が隠せないのも理解できます」
「それでもDXは経営者が引率するもの」だと一大決心をして机上の紙をなくす取り組みを始めました。「目標は1年目で紙を50%削減、2年目で80%削減」「管理部の部長は?」と聞くと「人事制度からテコ入れをしました。部長は職務には誠実で信頼のおける方ですので、二人でこれまで人事制度上で不明瞭だった各役職の職責を明確にしました。
そして、管理部長の仕事は月初の経営会議までに経営数値を計算することではなくて、経営数値を読み取って提案することです。数値の計算は部下に任せれば良い、と伝えました」。
ITリテラシーのギャップ
このように幹部がデジタル化の障壁となっている例を時折り見受けます。その要因のひとつがITリテラシーです。
若い社員の方がITリテラシーが高く、熟練の幹部ほどITリテラシーが低い。そのため組織活動がリテラシーの低い方に合わされてしまいがち。現実的に幹部に高いITリテラシーを求めるのは難しいですが、デジタル化が業務効率を高めることを知ってもらうことは容易です。
その実践的な方法のひとつは「業務フローの見直し」です。幹部自身もよく知る現行業務を業務フローに書き出します。そこから何が不便でどのようにすべきか?を幹部も部下もみんなで検討するのです。幹部自身にも考えさせることで理解が深まります。
デジタル化は手段ですので「改善された新しい業務フロー」が出来上がれば、適切なツールを探して実現できます。
宇都宮武則
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