記事番号:T00130018
皆様の時間を「ビジネスのヒント」へ。本コラムでは、ワイズ独自調査のデータに隠された台湾市場のリアルを読み解きます。第17回は、在台日系企業における物流サービス利用実態の深層に迫ります。
ワイズリサーチが在台日系企業72社(主に製造・卸売業)へ実施した調査では、半数以上が「複数の物流業者を併用している」ことが分かりました。この結果から見えてくるのは、事業展開の高度化に伴って企業が物流に求める要件が変化し、既存の体制との間に「3つのギャップ」が生じているという実態です。
ギャップ1:コスト見直しの裏にある「サービス品質」への期待
物流業者の見直しを検討する決定的要因として、65%の企業が「コストの削減」を挙げています。しかし、既存パートナーへの具体的な改善要望に目を向けると、「コストの高さ」に次いで「対応品質(柔軟性・トラブル対応)が低い」や「取扱い品質(破損・丁寧さ)といったサービス面での課題が多く指摘されています。
この結果は、企業が単に委託費用の安さだけ追求しているのではなく、支払うコストに見合った丁寧な対応や柔軟性が得られていないという現状への課題感を示しています。
ギャップ2:単なる保管から「機能的拠点」へと進化する倉庫ニーズ
直近1年間の倉庫・物流業務に関する課題として、最も多く挙げられたのが「倉庫スペックの不足」でした。また、物流サービスに対する要望としては、「取扱い品質の確保(破損防止など丁寧な作業)」、「高い在庫精度・ミス防止の徹底」、「トレーサビリティ(履歴管理)の対応」といった管理体制に関する項目が上位を占めています。
これらのデータは、企業のニーズが単なる荷物の保管スペースから、多品種少量管理や製品の品質保持など、サプライチェーン全体をより高度化・安定化させる機能的拠点へと前向きにシフトしている状況を物語っています。

※ワイズリサーチが実施した「在台日系企業における物流サービス利用実態・課題調査」に基づき作成した
ギャップ3:現場の課題感と経営層の意思決定プロセス
物流業者の見直しや変更に関する意思決定プロセスにおいては、提案自体は主に「物流管理部門(現場)」から行われるものの、最終決定は「取締役・経営層」が握っているという構造が明らかになります。
現場部門が日々の作業品質やスペック向上を求める一方で、経営層は全社的なコストの妥当性や長期的な事業戦略を重視します。新たな体制へスムーズに移行するためには、両者の視点をいかにすり合わせるかが鍵となります。
経営へのヒント
今回の調査結果は、物流サービスを利用する企業にとって、次なる事業成長への道標となります。他社が直面している「品質とコストのバランス」や「機能的な倉庫スペックへの要求」といった課題を客観的な指標として活用し、自社のサプライチェーンが今後の事業拡大に耐えうるかを見直す好機です。現場の実務要件と経営戦略を統合し、自社に最適な基準を再設定することは、「物流=コスト」という過去の認識から脱却し、次なる成長を描くための戦略的な投資となるはずです。
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