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第16回 ライバルと組む裏側: 台湾物流業界の相互補完モデル


コラム 経営 マーケティング 台湾事情 作成日:2026年7月29日

ワイズ独自調査 3分でわかる!台湾市場トレンド

第16回 ライバルと組む裏側: 台湾物流業界の相互補完モデル

記事番号:T00129883

 皆様の時間を「ビジネスのヒント」へ。本コラムはワイズ独自調査からデータに隠された台湾市場のリアルを読み解きます。第16回は、台湾物流業界が仕掛ける分業ネットワークの裏側に迫ります。
 本コラムのベースとなっているのは、ある日系企業様からの「人手不足に伴う提携先探し」のご相談を契機に、台湾の倉庫・FWD(フォワーダー)業者各30社へ実施したインタビュー調査の結果です。今回の調査で浮き彫りになったのは、ライバル同士が枠組みを超えて協力し合い、互いのリソースを補い合うビジネスモデルが台湾の物流業界で日常化している実態でした。

 

提携意向7割超が示す分業による資源最適化
 同調査のデータによると、台湾の倉庫業者の73%、フォワーディング(FWD)業者の77%が「同業他社との提携に前向き」であることが示されています。
 この背景には、慢性的な人員不足や運営コストの上昇があります。台湾の物流関連企業は、すべての設備や人員を自社で抱え込む「自前主義」を避け、自社単独では対応しきれない業務を外部へ委託・連携することで、クライアントに対する対応業務の範囲を拡大する戦略をとっています。
 互いの得意分野を補完し合うことで、単独では受注できない大型・広範な案件を獲得する事業環境が形成されています。

固定費を抑え柔軟性を生む「持たない経営」の定着
 FWD業者を例に見ると、航空と海上で免許が分かれている点や、自社倉庫を持たないケースが多いという実情があります。自社の対応範囲外の案件が発生した場合、無理な設備投資や人員拡充を行うのではなく、迅速に同業他社に依頼する仕組みが一般的です。外部リソースを調達し、固定費を抑える合理的な経営判断が定着しています。

異業種資源の活用による最適パートナーの発掘
 こうした「持たない経営」における外部リソースの活用先は、同業他社にとどまりません。今回調査した物流業界では、さらなる機能拡充を模索する中で、物流専門ではない一般企業が有力な提携先として浮上する事例が確認されました。
 例えば、ある物流業者は、食品・薬品メーカーの事業転換によって生じた倉庫の空きスペースを借り受けています。借り受けた倉庫は、すでにISO22000(国際食品安全管理システム)やGDP(医薬品の流通管理基準)などの厳格な認証を保有しています。そのため、物流業者は自前で設備投資をすることなく、高い品質管理要件をクリアできました。また、漁獲量の減少で稼働が落ちた漁業メーカーの冷凍倉庫を、物流業者が一般倉庫として間借りし、自社の新たなインフラとして活用する事例も生まれています。
 このように、物流業者が業界の枠組みを超えて他業種の未活用資源に目を向けることで、自社の業務拡張に直結する有用なパートナーを見出すことが可能になります。

経営へのヒント
 台湾市場への参入やサプライチェーンの再構築において、インフラや人員をすべて自社で揃えることは、初期投資の増大や採用難による事業遅延のリスクを伴います。
 事業のリスクを抑え柔軟な体制を整えるには、外部の強みや既存設備を賢く組み合わせるアプローチが有効です。すべてを自社で抱え込むのではなく、コア業務に集中しながら、不足する機能は同業他社や異業種といった専門パートナーと柔軟に連携して補います。これにより、人手やコストの制約を受けずに提供サービスを最大化し、事業を安定軌道に乗せることが可能となります。

ワイズ独自調査 3分でわかる!台湾市場トレンド

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