記事番号:T00001769
前回までのあらすじ
S財閥で小売業チェーンを展開するL社は迷走を続けていた。4代目の総経理となった張氏は「新業態開発」を進めようとしたが、前任者の失敗の影響で、董事会や幹部の協力を得られず困っていた…
●董事会と幹部の協力を得るには
張総経理はL社の新業態(新ビジネスモデル)開発は不可欠であるという方向性には確信を持っていたが、問題は進め方にあると考えた。
そこでコンサルタントを雇い、「第三者からの判断を参考にしてみる」ことにした。
張総経理の現状把握通り、L社の新業態(新ビジネスモデル)開発は不可欠であるという方向性には間違いはなかったが、問題は進め方にあった。
調査で判明したことは、
○幹 部:前任総経理を信じて、全力で努力した結果の失敗だったので、無気力感と自信喪失気味になっていた。
○董事会:新規投資の必要性は理解しているが、同じ失敗を2度する訳にはいかず、成功をイメージさせる何かが必要であった。
●張氏の打開策
そこで、幹部の自信回復と董事会の信用を得るために、張総経理はコンサルタントと検討の結果、以下の戦略を立てた。
1.今年度は、最低限の投資で小さな成功体験を作り、幹部の自信回復と董事会の信用を得る。
2.同時に、新業態開発の研究を行い、来年度にはテストショップを出店し、研究・修正を行いながら完成度を高める。
3.3年目から、新業態を多店舗にて拡大していく。
1に関しては総経理とコンサルタントとのプロジェクトにより実施し、2に関しては総経理と本社幹部が担当することにした。
プロジェクトで検討の結果、「小さな成功」は「本社幹部と店長を対象とした実践的な研修を行い、各人のスキルアップと同時に業績向上の実現を行う」とした。
業績向上目標は11月の業績で昨対110%の実現と決まった。
研修という手法を選んだのは、台湾では企業内研修に減税措置が設けられているため、投資金額を抑えることができるからである。
(その3)につづく
※本コラムは事実に基づいていますが、複数の事例を交えてストーリーを展開していますので、個人および団体が特定できないようになっています。
ワイズコンサルティング 吉本康志