記事番号:T00000971
行政院経済建設委員会の統計によると、台湾の高齢者人口は2018年に全体の14.3%、26年には20.6%となり、「超高齢化社会」が出現します。
台湾では高齢者のことを「銀髪族」といいますが、「銀髪族」のためのケアやレジャーなどの市場は、7年後には3,500億台湾元規模に達すると予想されており、ビジネスチャンスへの期待が高まっています。
台湾でも戦後、日本の団塊の世代に相当するベビーブームが起きました。現在、社会の中核層を担っているこの世代は今後10年の間に続々と退職し、「銀髪族市場」の担い手になります。
先月、台北市の世界貿易センターで「台湾国際銀髪族健康ケア産業展」が開催されました。
初の開催だったこともあって、業界大手がこぞって最新の製品を展示しました。
リハビリおよび健康補助器具メーカーで、電動スクーター製造で世界首位の必翔実業は、リチウム電池式の新型電動スクーターと電動クルマいすを発表。
常業企業は、視力の弱くなった高齢者向けのポケット型拡大鏡、LED拡大鏡などを展示しました。
●独居老人向けケアに注目
今回の展示会で注目を集めたのは、一人暮らしの高齢者に対する、コンピュータや通信システムを使った医療ケアなどのサービスです。
中興保全の「遠距離生理測量」は、高齢者の血圧や血中脂肪濃度などを測定して、長期間の個人データを記録して健康維持に役立てようというサービスです。
同社は「Mini Bond」という携帯電話に似た機器を高齢者に持たせて、通信システムやインターネットで常時行動を把握するMini Bond衛星定位協尋」というサービスも提供しており、緊急時にはSOS信号の発信もできます。
工業技術研究院による「行動型健康パスポート」は、新たに開発したマイクロ無線生理監視システムで、利用者の体に張った薄型パッケージを通じて健康に関する様々なデータを採取できるものです。
中華民国長青協会も英トンストール社との提携で、通信システムを通じて高齢者を24時間態勢でケアするサービスを始めました。真茂科技と米インテル、台湾大学医学院が共同も同様のサービスを紹介しました。
●自分の老後は自分で
台湾では以前、老後は子供に養ってもらうという価値観が一般的でしたが、時代とともに「自分の老後は自分で面倒をみる」という考え方に変わりつつあります。
このため、一定の蓄えを持ち、自立したライフスタイルを求める人が増えていくと思われます。
これに伴って、衣食住、レジャー、医療、ケアなどあらゆる分野で高い水準のサービスを求める傾向が強まっていくことでしょう。
高齢者向け産業の新市場で、各企業がどんなアイディアとサービスを打ち出していくのか興味深いです。台湾生まれの新サービスが、世界の「銀髪族」市場で活躍するシーンも見られるかもしれません。
ワイズコンサルティング 陳逸如