記事番号:T00108426
本格的に評価改定に着手をし始めたH総経理と筆者(佐藤)。評価開始時期も大型ゴルフコンペも近づいており、悠長な気分ではいられません。
皆様、こんにちは。ワイズコンサルティング佐藤でございます。今回は前回の続きとなります。
第五日目 評価はみんな”S”評価?②
https://www.ys-consulting.com.tw/column/108100.html
さぁ、どうする総経理?
「コマッタ」を逆手に能力評価
業績評価は目標設定が肝であり、そのためにSMARTの法則を用いる事には理解いただけました(前回掲載)。残る取り組む課題は一つ。能力評価です。
能力評価において手を加える箇所は二箇所です。「総経理。役職ごとの評価項目は(一旦)そのままにしておきましょう」「そうだね。評価項目は日本と同じだから変えたくないね」。筆者は「一旦」という言葉は飲み込み、修正すべきポイントに触れます。
「例えば、先にお聞きした判断力という項目なのですが、その文字だけでは良し悪し決めにくいですよね?」「どういう事?」「業務において判断を迫られるシーンを想定して、具体的アクションを設定しましょう」。
「具体的アクションとは?」「例えばですが『判断は迅速で周囲から催促され ていない』ですとか『権限範囲内の判断内容を上司に丸投げしていない』とか」
筆者が言い終わる前にH総経理は「あるある!困っているのだよ」そして「あぁ、わかりました。私や会社が求める姿を具体的アクションで設定し、その出来栄えを評価するのですね。日頃の『コマッタ』を逆手に取れば良いんだ。そのためには、対象者と頻繁に接し観察が必要ですね」そのとおりです。勘が良いH総経理。続けて言います。
「佐藤さん、これは同じ評価項目でも役職ごとに具体的アクションは変えるべきですよね?」これ以上の説明は不要です。H総経理も日頃の『コマッタ』を思い起こしながら、判断力以外の項目についても一直線で具体的アクションを設定していきます。
曖昧な表現には要注意
「佐藤さん、もう一箇所は何を直せばいいの?」「はい。先程、S評価の定義が『良く出来ている』って仰ってましたよね?ここで言う『良く』とはどういう状態なのですか?」
特に形容詞では人により基準が異なるため、定義が曖昧になる言葉があります。先にあった『良い・悪い』ですとか『大きい・小さい』『積極的に~』なども人により基準が異なり、不明瞭な言葉になりやすいのです。
ここでも勘の良いH総経理「佐藤さん。わかりましたよ。『良い』という言葉にも具体性をもたせれば良いのですね?」「はい、その通りです。では思い起こしてみましょう。総経理が求める良い状態とはどのような状態ですか?」 「そうですねぇ」小考の後「周囲のメンバーにも影響を与えた」とか「周囲のメンバーも真似をするようになった」とか、かな。「だいぶ分かりやすくなりましたね」。
このように評価符号S、A、B、Cの定義もそれぞれに具体的な状態を組み込みました。完璧とは言い切れませんが、加えて具体的な事実を控えておけば一層曖昧な表現による基準のズレは防げます。
数名の社員をデモ評価し「この仕組みではS評価は濫発しないだろうな」H総経理は安堵の表情を浮かべています。こうして評価開始時期と大型ゴルフコンペには間に合わせることができました。ゴルフの成績は「ワイズ杯ゴルフレポート」にてご確認ください。
ワイズ杯ゴルフレポート
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次回予告:「年功型賃金の功罪」
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佐藤豪紀
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