第9回 大学全入時代を迎えて


コラム 作成日:2007年8月10日

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第9回 大学全入時代を迎えて

記事番号:T00002027

 
 今週発表された今年の大学入試の結果で、合格率は過去最高の96.28%に達しました。台湾では、第一志望の大学に落ちても、点数によって第2志望、第3志望の大学に振り分けられるシステムで、9万2,000人を超える受験生のうち、不合格になったのは3,350人。「落ちる方がはるかに難しい」といわれるくらいです。

 今年の合格者の最低点は18.47点で、1科目3点を取れば合格できたことになります。この大学は、嘉義県朴子市にある創立6年の稲江科技管理学院で、今回は最も易しい学校として全土に名前が知れ渡りました。平均点5点以下で入学できる大学は、同校を含め10校。本当に入学率100%が実現するとうわさされている来年は、こうした簡単な大学がさらに増えそうです。

 台湾ではかつて、大学生であることは、優秀と目される指標だった時代がありました。台湾は日本以上の競争が厳しい学歴社会で、私も大学に入って最初の授業で、教授が「大リーグ傘下に3A、2A、1Aとあるように、大学にも一流、二流、三流がある。二流、三流の大学では、社会に出てから厳しい」と語ったことがまだ印象に残っています。

教育の質の低下、深刻に 

 一流大学志向はもちろん当然のように続いていますが、大学進学が小学校に入るのと同じくらい当たり前のことになった今、大学生自体の価値は以前とは比較にならないほど低下しました。また、学生の質の低下、大学教育の質の低下も深刻な問題になっています。

「英語の読めない英文科の卒業生」「日本語を話せない日本語科の卒業生」「基本的な機械構造さえも分からない電機理工科卒業生」は珍しくなくなりました。勉強は唯一の道ではなく、勉強したからといって将来が保証されているわけでもありませんが、大学の本来持つ意味が薄れています。

 教育部は、大学の教育水準に対する各界からの批判を受けて、今後は全土70カ所の大学について、学科ごとに最低合格ラインを設けたり、学生の退学システムを強化することを提案するなど、劣悪なところは淘汰する仕組みをつくる考えを表明しました。しかし、大学が増え続ける一方で、学生は減り続けるため、各大学は生き残りのために学生集めで必死なのに、退学させるなどできるわけがありません。

 むしろ逆に、学生の人格向上、自主性建設に力を注ぐべきだと思います。学校はもちろん、ビジネスではありますが、何といっても社会に責任を負う教育機関であるわけですから。
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教育の専門家を自認する立法委員も、「名前が書けれ
ば進学できる台湾の奇跡」と教育行政のあり方を批判。
少子化の悩みは深いです(9日=中央社)



ワイズコンサルティング 陳逸如

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