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スティーブ・ジョブズに学んだこと 第3回 「ジョブズ復活、でも…」


コラム 経営 作成日:2014年10月24日

台湾経営マニュアル スティーブ・ジョブズに学んだこと

スティーブ・ジョブズに学んだこと 第3回 「ジョブズ復活、でも…」

記事番号:T00053428

●ジョブズがアップルを壊す? 

 ジョブズは復帰前にこう述べています。

 「私がアップル社の経営者ならば、マッキントッシュをできるだけ利用する。そして次の実りある事業に取り掛かる。パソコンをめぐる戦争は終わった。済んでしまったことなのだ。マイクロソフト社がずいぶん前に勝利を収めたのだ。」

 これを聞いて、私はさらにジョブズがアップルに復帰することを心から願いました。もうアップルを救えそうなのは創業者であるジョブズしかいなかったのです。

 1997年2月、ジョブズはアップルの次期OS(基本ソフト)としてNeXT社のOSであるNEXTSTEPを採用させることに成功し、その結果アップルはNeXTを買収しました。

 そしてジョブズは非常勤顧問として、アップルに復活したのです。

 しかし、当時の最高経営責任者(CEO)だったアメリオに紹介されたジョブズは、以前のようなプレゼンの達人ではなく、不機嫌でぶっきらぼうで、今後の暗雲を予感させました。

 実際にジョブズは、自分をアップルに戻したCEOのアメリオを追い出し、取締役会の要請を受け「暫定CEO」に就任します(ジョブズは多忙を理由にCEO就任を断りました)。

 その後すぐに、ジョブズは取締役のほとんどを辞任に追い込み、アップルの実質的権限を握りました(ジョブズ加油(^0^)/)。

 当時、アップルの社内ではジョブズが気に食わない社員を次々にクビにしたため、社内では、ジョブズにクビにされることを「スティーブされた」と呼んだほどです。

 また、当時規模の経済によるコストダウンを狙って他社のMac互換機向けにMacOSをライセンス供給していたのを突然中止し、量販店での販売も中止、Newton(1993年から発売された現在のiPadの原型)も中止するなど、当時のアップルがわずかな将来の希望として持っていると考えられていたものを全て破壊し始めました。

 ジョブズに期待していた私は心が折れ、きっとジョブズは自分を追い出したアップルが憎く、破壊するために戻ってきたのだろうと思ったほどです。

 極め付きはMacワールドエクスポで、ジョブズがプレゼンしている時、スクリーンにマイクロソフトのビル・ゲイツが映り、マイクロソフトに株式譲渡を行うと発表したのです。

 普段は新製品を発表する場ですが、この時は新たな製品発表はありませんでした。

 Macユーザーとしては唯一よかったのは、しばらく出ていなかったMS OfficeのMac版の開発をゲイツが約束してくれたことです。

 弊社は「会社中をMacにする」を目標に起業した会社でしたが、私はアップルの破壊を続けるジョブズを信用できず、ついにWindowsPCを購入したのでした(T_T)

●ジョブズの意図

 アップルとジョブズに詳しい林信行氏によると、当時のジョブズには次の意図があったそうです。

「Noと言えば、人は怒りだす」

 当時のアップルはそれぞれは素晴らしいところがあっても全体としては収集がつかなくなっていました。つまり部分最適化をジョブズは一度壊して全体最適化を目指していたのです。

 これは経営者、コンサルタントの両方の立場でたびたび経験しています。社員やクライアント企業の幹部からの提案は部分最適化を目指すものが多く、情を殺して多くのNoを言わねば、間違った方向に進んでしまうのです。

 また、互換機へのOS提供を中止した件については「最大の弱みは、最大の強みになり得る」と説いたそうです。

 マイクロソフト陣営は当時の経営理論の定石に従い、業界標準化戦略による規模の経済を追っていました。

 互換機メーカーへのOS提供を中止して規模の経済の真逆を目指すジョブズに勝ち目はあるのでしょうか?

●ジョブズの名言

 「方向を間違えたり、やり過ぎたりしないようにするには、まず『本当は重要でも何でもない』1,000のことにNoと言う必要がある。」
 

 「アップル社再建の妙薬は費用を削減することではない。現在の苦境から抜け出す斬新な方法を生み出すことだ。」

吉本康志

吉本康志

グループ代表兼ワイズコンサルティング社長

 1991年日本大手コンサルティングファーム駐在員として台湾駐在。1996年に起業、ワイズコンサルティングを設立~現在に至る。創業経営者として自社での実験を通して「必ず成果のあがるコンサルティングの探索」をライフワークに経営戦略、 人事労務、マーケティング戦略、IT活用等多様なコンサルティングで実績をあげている。(言語)日本語◎・中国語△

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