コラム

記事番号:T00053472
2014年10月28日15:54

 ●iMac発表 

 ジョブズはアップル復帰前にこう述べています。

 「ご存じの通り、私にはアップル社救済プランがある。それがアップル社にぴったりの製品であり、完璧な戦略であること以外は口外できない。しかし、私の考えに聞く耳を持つ者はいないだろう。」

 これを信じてアップルの新製品を心待ちにしていた私ですが、ジョブズ復帰後も暗いニュースが続いていました。

 会社(ワイズ)としても社員の増加によりパソコンは購入していかなければならず、ついにWindowsパソコンを購入してしまいました(;^_^A

 当時、私は真新しいWindowsパソコンを使いながら毎日イライラしていました。

 ストレスの原因はユーザーの使いやすさより、プログラマーの作りやすさを優先させたインターフェイスにありました。

 「Macだったら操作に気を取られずに、仕事に専念できるのにな〜」と思いながら、今後長く使っていかなくてはならないWindowsに四苦八苦していたものです。

 そんな1998年5月に初代iMacが発売されました。

 初代iMacは84年にアップルのマッキントッシュがGUI(グラフィック・ユーザー・インターフェイス)を採用して以来の、パソコン界における再発明と言えるでしょう(「再発明」という言葉は、のちに初代iPhone発表の際にジョブズが「今日、アップルは携帯電話を再発明する」と語った言葉を引用しました)。

●iMacの特徴 

 iMacの一番の特徴は見ての通りのデザインです。

 過去のパソコンはオフィスで使う事を前提としていたため、目立たないベージュや黒・グレーがほとんどでした。

 それに対してiMacは「ボンダインブルー」と呼ばれる半透明な不思議な青に白が基調になっています。

 それまでは「コンピューターは難しいものなのでユーザーに難しそうに見せるのはタブー」とされてきました。

 iMacはその常識も破って、あえて基板や回線が見える半透明デザインにしたのです。

 ジョブズはアップル社の最初の製品から、「偉大な大工は、たとえ見えなくても裏側に悪い木材を使わない」と基板と回線の美しさにこだわっていました。

 基板と回線が美しいアップルだからこそ、半透明にしてもおしゃれになりますが、回線の美しさなんて考えもしていなかった競合他社は簡単にはまねできません。

 iMacのデザインで最も目を引くのは筐体の形です。

 それまでのパソコンの筐体は四角を基調とした形でしたが、iMacは尻上がりの美しい流線型をしています。

 筐体デザインはどのパソコンも正面から見ることしか考えられていませんが、iMacは横や後ろから見た方が美しいのです。

 たしかに、パソコンを使用している人は正面しか見ませんが、家庭やパーティションの無いオフィスでは正面より後ろを見ることが多いので、後ろから見た時にどう見えるかは大切な要素なのです。

 私はWindowsの使いにくさで苦労していたので、発売にされてすぐにiMacを購入しましたが、当時の汚らしい弊社のオフィスでもiMacを中心におしゃれに見えたほどでした。

 デザインの他にも当時標準であったフロッピードライブの廃止や当時標準装備されていなかったCDドライブを装備、キーボードやマウスのUSB接続とUSBコネクターの装備など、世界初がたくさん詰まった画期的なパソコンだったのです。

 iMacを見た時、冒頭のジョブズの言葉を思い出し、ジョブズが考えていたパソコンはこれだったのか〜と、ジョブズを信じ切れずにWindowsパソコンを購入したことを後悔しました(T_T)

 iMacは世界的に大ブームとなり、この後、家電や文房具、他のPCや周辺機器など、世界中のあらゆる製品でiMacのデザインをまねた製品が出たほどです。

 しかし、iMacのモニターは、当時廉価製品でも17インチ以上が当たり前の時代に15インチと小さく、ハードディスクの容量、メモリーの容量、CPUの処理速度はWindows陣営では1年以上前のスペックでした。

 iMacの成功はマイケルポーターの競争戦略論を基にした当時の経営理論では説明がつきませんでしたが、数年後「ブルーオーシャン戦略」が発表されて、やっと説明がつくようになりました。

 次回はiMacの成功を経営の視点から考えてみます。

●ジョブズの名言

 「iMacは1,299ドルだが、来年の新しいコンピューターだ。昨年のコンピューターを999ドルで売るのとはわけが違う。」

吉本康志

吉本康志

Executive Consultant

日本の大手コンサルティングファームの駐在員として台湾駐在、1996年11月にワイズコンサルティングを設立。経営者としてコンサルタントとして男としてもまだまだ成長中。