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物語で学ぶ台湾の会社法1


コラム 経営 台湾事情 作成日:2006年11月29日

台湾経営マニュアル 台湾の会社法

物語で学ぶ台湾の会社法1

記事番号:T00000794


● FIAの株式会社について

FIAとは「外国人投資条例」に基づいて設立された会社の事です。

現在では外国人が台湾で会社を作る場合は、必ずFIA(外国人投資許可)を取得しなければなりません。

FIAの株式会社には「利益を外資で本国へ送金できる」「強制的な従業員への株式の引き受け免除」等幾つかのメリットがあります。

台湾で株式会社を設立する場合は、個人では2人以上、法人では1社以上の株主で設立する事ができますが、有限会社の場合は個人1人以上で設立が可能です。


● 事例:株式譲渡

台湾駐在員の北見氏は台湾人の奥さんとの結婚を機に、台湾での起業を考えていた。

事業が一段落ついたのを期に、産まれたばかりの息子がいるにも関わらず、思い切って起業する事を決心した。

資金は北見氏と奥さんの親戚である荘氏から資金を集めて設立する事になった。

北見氏は自分を信じて投資してくれた荘氏に「投資して良かった」と言ってもらう為にも、早く事業を軌道に乗せようと昼夜を問わず働いた。

当然、休日も無く働き、会社に寝泊まりすることも多かったので、起業してからは息子の起きている顔を見た事がなかった。

北見氏の努力の結果、半年後には累計損失は残っていたものの、家族が食べていけるぐらいの利益は上がる様になってきていた。

そんな時、投資してくれていた奥さんの親戚である荘氏から「急に資金が必要になったので出資金を返してほしい。」と頼まれた。

北見氏の会社は現在、累計損失が溜まっており、出資金を返すと資金が底をついてしまい、会社を潰さなくてはならないと説明したが、荘氏は聞き入れてくれなかった。

「利益が出始めたので、せめてあと半年間だけでも待ってくれたら、資金を返しても会社は続けてゆけるのに…」と北見氏は頭を抱えた…

● 解説

台湾人の株主との間では、事例の様な事が度々起こります。

台湾では個人事業でも出資してくれる人は沢山いますので資金は集め易いのですが、1年目からでも高い株主配当(年10~20%)を要求されます。

投資側としては、「短期であろうとこれぐらい儲からない様では、投資する価値が無い」と判断する為です。

ですから台湾では飲食業、小売業、オフィスも含めて常にアチコチで改装が行なわれています。

台湾の投資家は投資判断も早いのですが、見切りも早いのです。

ですから、台湾では内装設計の会社や看板屋等は、日本より仕事がたくさん有るのです。


さて、北見氏の対応策ですが、実はこの事例では法律上、北見氏は半年間は親戚に資金を返す事ができません。

公司法の第163条に「発起人の株式は、設立1年経たなければ譲渡できない」という一文があります。

ですから幸運な事に、北見氏は出資金を返したくとも返す事ができないのです。

北見氏の事業の成功を心よりお祈り申し上げます。 
ワイズコンサルティング 吉本康志

台湾経営マニュアル台湾の会社法

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