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物語で学ぶ台湾の会社法2


コラム 経営 台湾事情 作成日:2006年12月11日

台湾経営マニュアル 台湾の会社法

物語で学ぶ台湾の会社法2

記事番号:T00000803


● 支配人について

会社法で定義される支配人(中国語:経理人)は、定款や契約規定における授権範囲内で会社の管理運営及び署名を行なう人を指します。

この「経理人」とは一般的な役職で使われている「経理(日本語では課長~部長の役職を指す)」ではなく、一般的に呼ばれている「総経理」の事を指します。

ちなみに総経理という役職は法律で定められた役職ではなく、「大統領」でも「社長」でも「総統」でも構いません。


● 事例:支配人の義務と権限

日系企業のG社は、会社の経営を台湾人である陳氏に委任していた。

陳氏はG社ですでに30年の経験が有り、日本語も流暢で、日本からの信頼も厚く、13年前より総経理の任についていた。

陳氏は2005年よりはじまった新退職制度導入後も、新制度(労働者退職金条例)を選ばずに、旧制度(労働基準法で定められる退職金制度)を選択していた…

陳氏が60歳になった時、突然「私は定年退職する。」と言い出し、荘管理部長に「退職金を計算するよう」指示した。

実は陳氏は今年に入ってから自分の権限で毎月の給与を15万元から40万元に増額していた。

荘管理部長が退職金額を計算してみた。

すると、なんと陳氏の退職金は1,800万元となり、G社が中央信託局に積み立てている退職金の2/3にあたる金額であった。

陳氏は荘管理部長に「労働者の権利なのだから…」と言って退職金の支払を求めた。

困り果てた荘管理部長は顧問契約をしている弁護士に相談してみる事にした…


● 解説

陳氏は二つの間違いを犯しています。

一つ目は支配人の報酬は取締役会(中国語:董事会)での決定事項です。

会社法上、過半数の取締役の参加による取締役会で過半数以上の同意により決定されます。

ですから、陳氏が勝手に自分の報酬を決定する事はできません。

二つ目は、陳氏は支配人ですので、会社側の人間であり、労働基準法の対象外になります。

ですから、支配人の労働条件は労働基準法では守られないのです。

つまり、G社は慰労金等の名目で陳氏に退職金を別途支給する事は可能ですが、労基法で定められている退職金を払う義務はないのです。
 
ワイズコンサルティング 吉本康志

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