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日本と台湾のビジネスに対する考え方の違い3


コラム 経営 台湾事情 作成日:2006年8月28日

台湾経営マニュアル 日台相違

日本と台湾のビジネスに対する考え方の違い3

記事番号:T00000150


前回、台湾人経営者の言葉として「楽をして儲ける方法を考えなさい」という部分がありましたが、これは今風に言うと「競争力の有るビジネスモデルを創造しなさい」という意味だと私は理解しました。

この本当の意味を統一集団(食品と流通を中心とした台湾の財閥)の例を参考に説明します。

●事例:統一集団の戦略

私が駐在員として台湾に赴任した頃、統一実業は台南に有る大手食品メーカーの1社でした。

それが今では7/11(コンビニ)、家楽富(量販店)、康是美(ドラッグストアー)と小売業としての方が有名です。

台北の高島屋がオープンすれば百貨店も加わり、主要な小売業全ての業種を手に入れる事となります。(実際には破談になりましたが…)

統一集団にとっての小売業進出の成功モデルである7/11はご存じの通り、元々はアメリカ発の企業であり、日本ではヨーカドーグループが代理権を持っていました。

しかしアメリカの経営ノウハウでは日本では通用しないと考え、日本独自でノウハウを構築してきました。

その後アメリカの7/11は破綻し、現在は日本が救済しています。

つまり7/11はアメリカ発ですが、現在は日本の企業といえます。

台湾の7/11も現在は日本からノウハウを導入して成長を続けており、他のアジア各国へも進出しています。

ここで注意すべき事は7/11ジャパンのビジネスモデルより、統一集団のモデルの方が優れている事です。

統一集団の中核である統一実業はは元来食品メーカーなので、7/11と家楽富のPOSデーターは宝の山となります。

他社が開発した商品の売れ筋情報は一番早く掴む事ができるうえに、食品メーカーなので類似製品を素早く開発し、陳列することが出来ます。

しばらくはヒット商品の隣に陳列していますが、段々と自社製品のフェイスが広くなり、最終的にはヒット製品は棚から外される運命となるのです。

そうかと言ってライバルの食品メーカーはコンビニと量販店の圧倒的No.1シェアを誇る統一集団に卸さなければ大きな販売ルートを失うはめになります。

つまり、統一集団は食品メーカーとして「絶対売れる商品開発」を実現出来るビジネスモデルを持っているのです。

しかもこのビジネスモデルをアジア全体に拡大しようとしています。

7/11ジャパンが新しいノウハウやシステムを一生懸命作り上げても、儲かるのは統一集団となりかねません。

これが「楽をして儲ける」事の真髄であり、「商人」である事の証明でもあります。

つまり、ブランドや製品は何でも構わないが、どうやって儲けるかの戦略を考えているのです。

日本人は例え小売業であっても「作り上げること」に拘っている「職人」なのです。
 
ワイズコンサルティング 吉本康志

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