記事番号:T00000171
労働者退職金条例(以下:労退新制)が施行されました。
簡単に説明致しますと、労働者の退職金制度が「確定給付型」から「確定拠出型」に変更になるわけです。
この変更により賃金が実質的に6%増加する事になります。
旧制度下においてはほとんどの人がもらえなかった退職金が、新制度では転職しても、会社が倒産しても、自分が死亡しても(この場合は遺族に)確実に貰える素晴らしい制度です。
また、政府側にとっても、
1. 財政支出無しで高齢化社会の対応ができる
2. 波状寸前の労働保険、健康保険の財政難が解消できると、
素晴らしい制度になっています。
しかし、全ての利害関係者に素晴らしい制度にはできなかったようで、その負担を負わされる企業側は実質6~10%の人件費アップとなり、たまったものではありません。
台湾の現地企業はさすがに手慣れたもので、コストアップを最小限に抑える様々な対応策を考えて実施しております。
そこで今回は弊社がコンサルティングした人件費アップに対する対応策の一部ご紹介いたします。.
●対策1:減給
労退新制の積立ては労工保険局の個人口座に振り込まれる為に実質的な賃金アップとなります。.
そこで7月1日より賃金を6%減給或は3%減給(個人負担半分、企業負担半分)する。
●対策2:給与構成の見直し
1:毎月の経常性給与を削減し、その分賞与や三節の紅包で支払う
2:賃金アップとなった6%分を年末賞与から削減する 等
●対策3:従業員の一部を業務委託契約に切り替え、雇用関係を解消する
●対策4:社員を人材派遣会社に転籍させ、同じ人材を人材派遣会社から派遣してもらう
●対策5:会社を解散し、「労動合作社」にすることで、雇用関係からパートナー関係に変更する
●対策6:従業員を一度自願退職させ、7月1日以降再雇用する.再雇用の際には、以前の賃金6で労働契約を結ぶ
●対策7:幹部社員と委任契約を結び、雇用関係を解消する
●対策8:6%の従業員を解雇する
●対策9:福利の縮小
1. 年間ベースアップ停止
2. 制服の自己負担 等
●対策10:離職金制度を設け、旧制度の選択を奨励する等、様々な方法が有りますが、法律を理解し、上手にやらなければ違法となり、大きなリスクを抱えますので、実施の際には経営者側に立って考えてくれる弁護士等の専門家にご相談の上、実施される事をお勧め致します.
ワイズコンサルティング 吉本康志