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物価が高騰している現在、5元(約17円)で何が買えるでしょうか。
台中の「七年級生」(民国70年代生まれ。1981~90年)の若者2人が1年前に立ち上げた、同地の5元商品の情報を紹介する「台中入口網」というウェブサイトが大きな人気を呼んでいます。
台中入口網
HPを立ち上げたのは、廖乙誌氏と廖哲毅氏です。2人は幼なじみで、兵役が終わった時、一緒に起業することを決めました。最初は、10万元ずつを出し合って、パソコンなどのハードウエア販売会社を立ち上げるつもりでしたが、資金が足りず商品調達がうまくいきませんでした。
このため、2人はパソコンのプログラムを作ったり、企業のHP製作を手伝い始めました。自分たちが作ったウエブサイトで、6万元ももらえて驚いたことがきっかけとなり、本格的にHP製作を手掛けていきます。
低価格戦略で大ブレイク
「台中入口網」では当初、台中周辺のグルメやショッピング情報を公開していました。情報収集のために台中一帯を回ったところ、シャツ1枚、もち5個、ドーナッツ、小籠包、靴下など、わずか5元で買えるものが思いのほかたくさんあることに気が付きました。
2人はこれらの情報を整理して、HPに掲載しました。不景気のせいか、これが信じられないほどのページビューを呼び込み、「台中入口網站」の知名度もぐんと上がりました。
5元商品の紹介コーナー
ページビューの大幅増で、広告による利益を上げることも可能になりました。ここで2人が使った戦略が、「ほかにない低価格」です。広告を出したい事業主は、新聞の折り込み広告より安いわずか6,000元でHPに登録でき、無期限で掲載し続けることができるという、画期的なサービスでした。
廖乙誌氏は、「最初は単純に地元の人に情報を提供したかっただけで、ここまで成功するとは夢にも思わなかった」と語っています。台中での成功に味を占めた彼らは、台北、桃園、嘉義、高雄と、各地情報のHPを次々と立ち上げ、今や従業員30人の会社となりました。HP利用者は毎月50万人以上、広告契約社数は400社で、同社がHP製作を請け負った企業は800社に上っています。
マーケティング活動は、一般的により多くの消費者を狙って行うのが普通ですが、彼らの場合、特定の人をターゲットにしてサービスを提供したことが、かえって大きな成功につながったケースです。
「台中入口網」
http://www.intc.com.tw/html/front/bin/home.phtml
ワイズコンサルティング 陳逸如