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Karte5:コンサル失敗⑥


コラム 経営 作成日:2008年1月25日

コンサルタントの企業カルテ

Karte5:コンサル失敗⑥

記事番号:T00005226

 
Aコンサルとのコラボレーションで、B財閥C百貨店D店の売り上げを1年後に20%UPさせるコンサルティングを行っていた。最後の望みとして行った「北海道物産展」も、わずかながら昨年比を割ってしまった…

●結果報告
「いったい1年間、何をしていたんだ!」

B財閥の会長は幹部たちの前で加藤氏と私を怒鳴りつけていた…
ここはB財閥の会議室。嫌がる加藤氏を連れて1年間の結果報告に訪問していた。B財閥との契約はAコンサルでしており、弊社には契約上責任はなかったが、台湾における日本人の信用を落とすことはできなかったのだ。結局今回1年間のコンサルティングでは、昨年対比20%UPさせるどころか、通年で15%のダウンとなっていた。加藤氏は「幹部のレベルがこれほど低いとは…」と言いかけたが、「言い訳は止めましょう」と言葉を遮った。

B財閥の会長は「成果を上げるというからXX元という大金を支払ったのに、どう責任をとってくれる!」と加藤氏に詰め寄った。その時私は初めてB財閥がAコンサルに支払った金額を知ったが、確かにけっこうな額であり、弊社は格安で使われたことになる。いつまでたっても決着が付かないようだったので、弊社から次の提案をした。「Aコンサルは知りませんが、弊社は次のご提案をいたします。」

1. 店の幹部を対象にMDの基本を身に付ける研修を行う(5回コース)
2. 単月売り上げが昨年対比120%を上回るまで、コンサルを続ける(ただし最長で1年間)
3. これらの費用はすべて無料で行う

この提案には会長にも納得していただき、Aコンサルは部分的に協力することになった。

…6カ月後、D店の月間業績は下図の結果を得ることができた。月間のトータルでは、昨年対比142%、予算達成率111%であった。D店では月間予算を達成したのは7年ぶりということで、後日D店の招待でD店全社員と大宴会を行った。

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しかし、コンサルティングは一応ここで終了させてもらうことにした。というのも2カ月後にはD店の10倍の売場面積を持つH百貨店がオープンし、せっかく上がってきた売り上げも大幅ダウンになることが確実であり、多少のコンサルティングフィーをもらっても、その責任まで取らされるのはリスクが高すぎるからである。

もう一つの理由は、D店は業種転換しなければ将来性ないが、今回の成功で会長に「D店も百貨店という業態のままでもやればできる」という間違った認識を持たれてしまったからである。

「経営コンサルタント」と一言で言っても、実際はさまざまな種類がある。私の見る限り、加藤氏と前田氏は「売場のコンサルではあったかもしれないが、経営コンサルではなかった」。D店に必要なことは「撤退か業種転換か」という経営判断であり、売場改善でどうなるものではなかったのだ。

(カルテ5 完)※本コラムは事実を基にしていますが、複数の事例を交えてストーリーを展開していますので、個人及び団体が特定できないようにしています。

ワイズコンサルティング 吉本康志

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