記事番号:T00014638
行政院主計処によると、2月の台湾の失業率は5.75%に上り、約62万4,000人が失業状態にあるそうです。政府の失業対策の取り組みに期待する人も少なくないと思いますが、そんな中で、不景気な社会の役に立つと同時に、自分の生計の道を切り開けないか、と考える人もいるようです。
今回は、そんな夢をかなえた男性を紹介したいと思います。彼は自分1人の力だけで、3年で2万件もの就業機会を作り出しました。
2万件の就業機会創出
4年前のこと…当時半導体会社で働いていた李政達さんは、「自分が死んだら2人の子供がご飯を食べられなくなると考えたある父親が、2人を道連れに自殺した」という事件をニュースで知りました。李さんはそのとき、「1日に弁当4つあれば、子どもは父親がいなくても生きていけるのに」と考えました。そして、そのための1日500台湾元を稼ぐことは、忙しい人の「足」として買い物や雑用などを引き受ければ、特別な能力や才能がなくても決して難しいことではないと思いつきました。
李さんはまず、このアイデアが実現できるかを確かめるため、ある無料ウエブサイト上で「使い走り(パシリ)」という便利屋情報を掲載してみました。すると、予想以上に依頼が殺到したのです。「これはいけそう!」と感じた彼は、「パシリ」の仕事をたくさんの人にやってもらおうと、3年前、「使い走りフォーラム」というサイトを立ち上げました。「使い走りチーム」の一員として、「パシリ」サービスを提供したい人は、このサイトに登録する仕組みです。
失業率急上昇で会員も急増
「使い走りフォーラム」は昨年からの失業率急上昇に伴い、会員数が急激に増えて2万人になったそうです。皆さん、ちょっと想像してみてください。もしこれが会社組織だとしたら、社員が2万人もいる大企業といえるのではないでしょうか?
クビの心配なし!
使い走りチームが提供するサービスは、多様で数え切れません。というのは、「クライアントに頼まれれば、何でもする」ためです。買い物や配達などは基本中の基本。ペットの世話、洗濯物を干す、1日彼氏代わり、代理告白など、普通の人が思いつかないような依頼もたくさんあるそうです。
「使い走りチームは個人対個人のサービスなので、ミスなくこなせれば、クライアントに文句を言われることもないし、クビになる心配もありません」と李さんは語ります。
使い走りチームのポリシーは、「“余っている”人材を活用してM型社会を打破」。使える武器が自分の「足」だけだとしても、羽ばたくチャンスは必ずあると李さんは考えています。
ワイズコンサルティング 陳逸如