コラム

記事番号:T00052826
2014年9月23日15:44

 北海道日本ハムファイターズの陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)選手は2005年のプロ野球ドラフト会議(高校生部門)で同球団の1位指名を受け入団しました。その後12年にオールスターゲーム初出場とゴールデングラブ賞を受賞するなど大きく飛躍し、13年には47盗塁で球団史上初の盗塁王を獲得しました。

 今年のオールスターゲームでも大活躍を見せ、「お祭り男」と呼ばれるほど、日本プロ野球界で実力と人気を兼ね備えた選手になりました。しかし、意外にも台湾人に広く知られるようになったのは、13年に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)からです。台湾代表としてプレーする姿が台湾人の心に残りました。

台湾での広告起用続々

 WBCでの活躍を受け、台湾での陽選手の人気は一気に火が付き、食品メーカーの黒松やバイクの三陽工業(SYM)のCMに起用されるようになりました。

 陽選手の人気を受け、ある韓国大手企業も高額のCM出演料を提示し、陽選手に出演を依頼しました。しかし、陽選手はこれを拒否し、黒松を選んだことを明らかにしました。

 陽選手は自身のフェイスブック(FB)に「一人ひとりは微力だが、自分は力が残っている間に故郷のために力を尽くしたい。台湾人として言いたいのは、自分で自分たちを愛さなければ、誰も台湾を愛してくれないということだ」と愛国心に溢れる投稿をし、多くの台湾人の共感を得ました。ちなみに、黒松では炭酸飲料「黒松沙士」のCMキャラクターに起用され、人気チャットアプリ「LINE」のスタンプにも登場し、多くのユーザーに利用されています。


台湾の流行語を取り入れたLINEのスタンプ。ダウンロードは既に終了しています

 また、台湾プロ野球リーグをモデルとして作ったスマートフォン用ゲーム「球来就打」のイメージキャラクターも務めています。このゲームは台湾のプロ野球チームを選んでプレーします。日本チームに所属する陽選手を特別にチームに加えることもできます。この他、旅行代理店が『陽岱鋼応援ツアー』と銘打った、北海道観光と野球観戦を組み合わせたツアーも販売しました。


「球来就打」は人気アナウンサーの解説や各選手の応援歌が再現され、臨場感あふれるゲームです

公開プロポーズ

 陽選手は愛妻家としても知られています。台湾でモデルとして活躍していた妻の謝宛容(シェ・ワンロン)さんは、陽選手より2歳年上の姉さん女房です。陽選手が20歳の07年に出会いました。陽選手は知り合ってわずか3カ月でプロポーズするもあっさり断られてしまいました。それでもめげずに1年後に2回目のプロポーズするもまたも失敗。そこで、台湾で行われた09年12月の慈善試合中に「公開プロポーズ」を決行。ようやく「OK」の返事をもらえました。

 陽選手はフェイスブック(FB)の職業欄に「謝宛容の専用スーパーマン」と記載している他、4歳の娘とペアルック姿をFBに投稿するなど家族思いな一面もあります。


陽選手は自身のFBに娘との仲睦まじい写真を掲載し話題となりました

本塁打で寄付

 陽選手は今シーズン、本塁打1本につき3万台湾元を台湾に寄付することを発表しました。

 7月のオールスターゲームでは2試合連続の敢闘選手賞(賞金100万円)に加え、2日目に行われた本塁打競争(賞金50万円)でも優勝。さらに、2日間を通じて最も活躍した選手に贈られる「Be adriver.賞」にも選ばれ、自動車もゲットしました。陽選手は「スタメンじゃなかったので休みかと思った」とユーモアあふれるコメントを残し、「こんな満員のお客さんの中でプレーできて幸せ。賞金250万円は全額台湾に寄付したい」と発表し、児童養護施設や原住民の少年野球に寄付しました。

 なお、陽選手の今月21日までの本塁打数は23本。今シーズン終了までに何本まで伸ばすことができるか、楽しみですね。 

段婉婷

段婉婷

コンサルタント

中国文化大学日本語学科卒業。2009年・日本へ一年間の交換留学。2010年にワイズコンサルティンググループに入社。ISMSプロジェクトの経験を経て、現在はリサーチ部門に所属。