コラム

記事番号:T00055904
2015年3月17日15:41

 ハローキティ、リラックマ、くまモンなど、台湾ではやっているキャラクターは日本のものが多いですが、ここ数年、メード・イン・タイワンのキャラクターも人気を集めるようになってきました。セブン-イレブンの「OPEN小将(オープンちゃん)」や、以前コラムで紹介した、台湾のイラストレーター、弯弯(ワンワン、ウァンウァン)のキャラクターなどが代表的です。


美美(左)。渡辺直美(右)プロデュースのファッションブランド「PUNYUS(ぷにゅず)」とコラボしました(H.H先生提供)

 弯弯のように自分のイラスト作品をSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などに掲載することで、人気を博した素人イラストレーターも多いです。今回は、そのうちの一人、H.H先生(ペンネーム)が世に送り出し、最近台湾で最も話題を呼んだ「美美(メイメイ)」を紹介します。

おデブでも自信満々

 美美は身長わずか130センチメートル、丸顔のぽっちゃり女子。周囲の目を気にせず濃い化粧をし、レディー・ガガのような奇抜なファッションも着こなし「女神オーラ」をプンプンさせています。

 性格は率直で飾らない一方、負けん気の強い頑張り屋で、正義を重んじる勇敢な存在。自信満々な彼女ですが、フェイスブック(FB)ページの「いいね!」は3件以下と全然注目されず、皮肉もよく言われます。それでも彼女がフェイスブックにアップする写真は美肌加工せず、ありのままの自分を見せています。

台湾人のFB行動をネタに

 そんな美美の生みの親で、今年29歳のH.H先生は、正式な美術教育を受けていませんが、子供のころから絵を描くのが好きでした。百貨店のファッションブランドで2年勤務し店長となったものの、会社を辞めてオーストラリアへワーキングホリデーに行きました。帰台後の再就活で挫折を受け続けた彼は、ストレス発散にイラストを描き始めました。その題材になったのは、台湾人がフェイスブックにアップする内容でした。


H.H先生(前右)は、「スーパーガールズエキスポ」記者会見でロンブー淳(前左)にイラストをプレゼントしました(H.H先生提供)

 H.H先生はフェイスブックで友人の投稿を観察。過度に美肌加工した写真や投稿内容と関係のない写真、悲しみを全く感じさせないうそ泣きの書き込みなどからインスピレーションを得ました。例えば、ある友人の女性は「パソコンが壊れた、誰か助けて~!」と書きつつも、胸元を強調したワンピースをまとい、アヒル口をした写真を投稿したところ、多くの「いいね!」やコメントを集めました。一方、同じ内容の書き込みを見た目ぱっとしない女性が壊れたパソコンの写真とアップしたら、「いいね!」が少なくコメント内容も違いました。H.H先生はこれらをヒントに、台湾人のフェイスブック上の行動を皮肉るような作品を描き上げていったのです。

美美ヒットはファンのコメントから

 H.H先生のイラストはあまりに面白く、友人に勧められて2013年10月にフェイスブックのファンページを開設。2週間ほどで19万件の「いいね!」を集め、今では100万件を超えています。

 当初は美美のイラストはなかったのですが、H.H先生はある日、セクシーな服装をまとい濃いメークをした女性がフェイスブック上に、事故で亡くなった美美を悼む文章を書きながら、書き込み内容と全く関係ない自撮り写真を投稿するイラストをアップしました。台湾の女性がよくする行動を皮肉ったのです。数日後、H.H先生が美美が登場するイラストをアップしたら、ファンから「美美は死んだんじゃないの?」とコメントされました。意外にもファンが美美をしっかり覚えていたのです。その後、美美をどれだけ目立たないところに描いても発見されるようになり、美美が徐々に脇役から主役になり、H.H先生の代表的キャラクターになったのです。


台湾ビールのデザインイベントでも美美は大活躍(H.H先生提供)

 人気に火がついた彼は、14年5月にイラスト本「美美的逆襲」(美美の逆襲)を出版。その後企業からのイラスト作成依頼などが殺到しました。ファッション誌「VOGUE(ヴォーグ)台湾」のコラム執筆者となり、台湾ビールの瓶のデザインイベントに招かれた他、美容効果をうたうコラーゲングミやシートマスクのイラストにも美美が採用されています。さらに、同年11月に吉本興業が台北市で主催した「スーパーガールズエキスポ(最強美少女博覧会)」にもゲストとして参加し、ロンドンブーツ1号2号の田村淳に美美と一緒のイラストを贈りました。

 H.H先生は「美美の大ブレークは完全に予想外だった」と語りました。彼はルックスに欠点を抱えながらもひたむきに生きる美美を通じて、「自分は自分。人に左右されずに生きよう」というメッセージを世間に伝えようとしています。

 ちなみに、丸顔ぽっちゃり女子の私は美美に似ているかもしれませんね!

H.H先生のフェイスブックファンページ:
https://www.facebook.com/mrhhh?fref=ts 

段婉婷

段婉婷

コンサルタント

中国文化大学日本語学科卒業。2009年・日本へ一年間の交換留学。2010年にワイズコンサルティンググループに入社。ISMSプロジェクトの経験を経て、現在はリサーチ部門に所属。