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● 「何をビジネスに選ぶか2」
日本人が台湾でビジネスを行う際、台湾人と同じ切り口で、同じ様なビジネスをしても面白くありません。
日本人なのですから、日本の優位性を利用してビジネスを行うのが得策です。
では、アジアにおける日本経済の地盤沈下が進む現環境下において、日本にはどの様な優位性が有るのでしょうか?
一つ目は、「開発力」です。
ご存知の通り、技術開発力・商品製品開発力等は未だ日本はアジア各国に大きなアドバンテージを維持しています。
このテーマについては様々な書籍やテレビで紹介されているので、ここではあえて紹介しません。
二つ目は、「成熟経済下におけるビジネス経験」であり、これについて紹介している書籍やテレビは見かけないので、今回はこれについてご紹介します。
中国やロシア等、経済的には高度成長期であっても混乱期でのビジネスは、チャンスは大きいものの日本人はあまり強くありません。
正確に言えば弱くなってしまったのです。
日本における混乱期は最近で言うと明治時代或いは戦後の昭和20年~30年代です。
この時期にビジネス経験のある人達は既にリタイヤしてしまっており、現在の日本人は混乱期で儲けるノウハウを持つ人は少ないのが現状です。
逆に、台湾はつい最近までこの時期であったため、混乱期でどの様にビジネスにしてゆくかを「経験」している人達は少なくありません。
日本人にとってアドバンテージが少ないステージ(混乱期)で起業するよりも、現在の日本人にとって手慣れた成熟期経済でビジネスを行う方法もあるのです。
例えば「人材ビジネス」を例にとると、日本と台湾における人材ビジネス成長の移り変わりは以下の通りとなります。
日本 台湾
1980年代 人材紹介ビジネス 不明
(私はこの頃の台湾を知らない)
1990年代 人材派遣ビジネス 人材紹介ビジネス
2000年代 介護ビジネス 人材派遣ビジネス
アウトプレイスメント
アウトソーシング
ヘッドハンティング
台湾でも今後、「介護ビジネス」「アウトソーシング」「ヘッドハンティング」等の人材ビジネスが流行るのは目に見えています。
例えば「介護ビジネス」を例に取れば、
1.急速な高齢社会化の進行
2.核家族化の進行
3.高齢者の貯蓄水準
4.労基法の適用外業種
などの、有利な条件もあります。
私が創業したのは90年代中盤でしたが、その頃台湾では人材派遣というビジネスは一般的ではありませんでした。
日本では「人材派遣ビジネス」で創業し、若くして成功した人が多かったため「コンサルティングビジネス」を選ぼうか「人材派遣ビジネス」を選ぼうかと真剣に悩んだものです。
結局は過去の経験豊富な現在のビジネスを選んだのですが、最近では「人材ビジネス」も少しずつ始めています。
この様に、同じ「人材ビジネス」というカテゴリーであっても近い将来を先読みし、より有利な方法で参入することが出来るのも、日本人ならではの優位性ではないでしょうか。
ワイズコンサルティング 吉本康志