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駐在員人生考その8(サラリーマンの途 その3)


コラム 経営 台湾事情 作成日:2006年8月28日

台湾経営マニュアル 台湾駐在員編

駐在員人生考その8(サラリーマンの途 その3)

記事番号:T00000109


● 経営に尽力を尽くすタイプの場合

2000年8月、宮川氏はD社台湾現地法人の三代目総経理として赴任してきた。

D社は日本では電子部品の製造販売会社であり、台湾法人は30名のスタッフを抱え、台湾国内市場の販売を担っていた。

日本に居ても高評価が聞こえてきていた前任者の宍戸氏とは引き継ぎの時に初めて逢った。

彼曰く「売上の上がる基礎は私が作り上げましたので、今年1年間の売上目標達成は間違いありません。宮川さんは、来年以降の営業戦略でものんびりと考えていて下さい。」との事であった。

事実経営数字を見ると、宍戸氏が赴任以来、売上は毎年上昇しており、今年の上半期も目標を大幅に上回っていた。

宍戸氏は台湾での業績が認められ、国内に帰国後の部門とポジションはD社のエースとして将来を期待されたものであった。

宍戸氏が帰任後、宮川氏は現状が理解できるにつれ、宍戸氏についての悪い噂を顧客、社員、出入り業者、同業者等から聞く様になっていた。

最初は「やり手には敵が多いものさ」と聞き流していた宮川氏であったが、会う人会う人全ての人が言うので、「業績を上げたのだから多少の事は」と目を瞑っていた。

そのうち、ITバブル崩壊の影響で、売上が大幅に少なくなってきていた。

宍戸氏が担当していた8月までは目標を上回る業績であったが、宮川氏が担当となった9月以降は目標を大幅に下回っていた。

実際には9月の業績は2~3ヶ月前にサンプル提出等で予測できているので、宮川氏は9月以降の業績については把握していた筈だった。

考えてみれば人事異動の季節である4月ではなく、8月から赴任というのもおかしな話であった。

「宍戸氏のプライベートな理由で急に帰任が決まったから…」という本社人事部の説明で宮川氏の台湾赴任も突然決まり、宮川氏の所属する部門では混乱が起こる程急な異動だったのだ。

時を同じくして、優秀な主力社員達の離職が続いた。

宮川氏が離職者へインタビューした結果、宍戸氏には既に9月末までという約束で離職届を受理してもらっているそうである。

宮川氏は日本にいる宍戸氏に確認の連絡を取ってみると「ちょうど業績が悪いのだから、リストラ
をしなくて良いではありませんか」と悪びれる感も無い。

この頃になって宮川氏は宍戸氏に「嵌められた」と気づいたものの、後の祭りである。

今後業績は暫く改善の見込みは無く、本社側にすれば「やはり宍戸でなければ駄目か」とのイメージを強く植え付けさせる事になってしまう。

人が良く努力家の宮川氏は、それでも周りには愚痴一つ言わず、宍戸氏の尻拭いと台湾法人の立て直しに努力する事に決めたのだった…
 
ワイズコンサルティング 吉本康志

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