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駐在員人生考7(サラリーマンの途 その2)


コラム 経営 台湾事情 作成日:2006年8月28日

台湾経営マニュアル 台湾駐在員編

駐在員人生考7(サラリーマンの途 その2)

記事番号:T00000108


● 出世を捨てたエリート社員(つづき)

M社のエリート社員で、若くして台湾法人の総経理として駐在した佐伯氏は、駐在三年目からミッションに対する情熱は薄れ、駐在員生活をエンジョイしていた…

佐伯氏の台湾駐在は早くも6年目を迎えていた。

その間、佐伯氏もミッション達成の為、何度か新しい事にチャレンジはしてみたものの、そう簡単に上手くはゆかず、生活はますます乱れていた。

佐伯氏の生活と同調する様に、M社台湾法人の業績は低迷し、赤字額は年々増加していた…

その頃M社本社では、日本国内市場の不景気が続き、台湾法人の赤字垂れ流しを見過ごせない状況となり、ついに台湾法人撤退の日がやってきたのだった。

遅かれ早かれ、いつかは撤退するだろうと思っていた佐伯氏にとって、ついに運命の日がやってきたのだ。

台湾法人撤退が決まってからの佐伯氏は「これからはこんな夢の様な生活はできない」と思い、以前にも増して活発なプライベートを過ごす様になっていた。

…1年後、M社台湾法人は既に撤退し、その責任を取る形で佐伯氏は閑職に就いていた。

佐伯氏は時折台湾での生活を思い出すが、一時的とはいえ、時間もお金も充分使える夢の様な生活を満喫出来たので、後悔はしていなかった。

また、今は閑職ではあるが、台湾で生活するチャンスを与えてくれた会社にも恩はあれ、恨みは抱いていなかった。

ちょうどその頃、M社の属する業界では、元気の良い新興企業S社が台頭してきていた。

M社を含むそれまでの大手企業はS社にシェアを奪われ、S社は急成長を維持する為に積極的に他社の幹部をヘッドハンティングしていた。

佐伯氏の勤務するM社でも、将来を期待される有能な人材の多くはS社へ移り、M社は人材不足になっていた。

そこで、再び佐伯氏にチャンスが訪れることになった。

会社に恩を感じている佐伯氏は、他の社員より忠誠心が高く、会社の危機と自分のチャンスに猛然と立ち向かい、業績を上げ続けた…

現在、M社の業界内におけるポジションは相変わらず地盤沈下が続いているものの、佐伯氏に対する経営陣の評価は高く、M社に不可欠な人財となっている…

佐伯氏のケースは稀なケースではなく、状況は違っても佐伯氏の様に幸運な人達もけっこういらっしゃるものです。

中国語に「人算不如天算」(人の考えは天の考えに及ばない)という諺がありますが、佐伯氏の事例の様に、台湾駐在期間をエンジョイしまくっても、「不幸な将来」が訪れるとは限らないのです。

何が起こるかわからないのが人生の面白いところではないでしょうか。
 
ワイズコンサルティング 吉本康志

台湾経営マニュアル台湾駐在員編

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