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記事番号：T00114858

　今年、上場投資信託（ETF、ファンド）は予想以上に上昇しました。ETFの新商品も次々と発売されました。配当は1年に1回や半年に1回、四半期に1回など、さまざまです。

　金融監督管理委員会（金管会）の統計によると、2月末時点で上場しているETFは241件で、純資産総額は4兆2000億台湾元（約20兆円）に上りました。受益者は1061万人、投資家は770万人でした。台湾人の3人に1人が投資している計算です。

台湾初のETF発行

　台湾最大のファンド運営会社、元大証券投資信託（元大投信）は1992年に設立し、台湾で最初にETFを発行しました。前身の宝来証券投資信託（宝来投信）は2003年に設立し、台湾で最も有名なETFとなった「元大台湾卓越50基金（証券コード0050、リンリンウーリンと呼ばれる）」や、07年に設立した「元大台湾高股息基金（0056）」が、台湾の個人投資家の間で人気です。

　先月、新たに「元大台湾価値高息（00940）」の募集を行いました。▽毎月配当、▽年率8%、▽1株当たり10元──をアピールしたところ、投資家がこぞって定期預金や積立保険を解約したり、住宅ローンやクレジットカードローンで資金を調達して、家族も巻き込んで、応募しました。

　わずか5日間の募集期間で、70万人以上が殺到し、1752億元の資金が集まりました。台湾の投資信託史上の最高で、「00940の乱」と呼ばれました。金管会が投資家に対し、自分のリスク許容度を考えるようにと呼び掛けたほどです。

　上場日の4月1日には発行価格を割り込みましたが、長期的な見通しを楽観して、受益者は増える一方で、92万人となりました。

38歳、最年少の総経理

　元大投信の董事長、劉宗聖氏は、1968年に生まれました。長年ETFに携わり、台湾のETFの創始者といわれています。

　中国の上海財経大学で経済学の博士号を取得、米国のウィスコンシン大学で経営学修士号を取得しました。裕福な両親の資金援助や、成功への近道があったわけではなく、卒業後は台湾に戻り、証券会社、宝来証券の研究員としてキャリアをスタートしました。

　劉氏は並々ならぬ努力で、わずか7年、38歳という若さで、当時最年少の総経理となりました。

　若くして出世した劉氏の逸話は絶えません。20代で海外を視察した際、帰りの機内の10時間余りで70～80ページもの報告書を書き上げ、翌朝に台湾に到着後、正午には上司に報告しました。

人に任せる

　劉氏は若いころ、上司に分からないことが多くあり、報告をしても数字の一部を理解できないことに、「これでも上司になれるのか」と思い、絶対にこのような上司にならず、専門性を身に付けると心に誓いました。

　劉氏は一つの部門を任されるようになったとき、誤解に気づきました。管理者とは、▽人事、▽総務、▽経理、▽財務、▽戦略、▽製品、▽マーケティング、▽営業、▽顧客との関係──まで幅広く見なければならず、全てに応えるには30人は必要で、1人で全てを理解できるはずがなく、衝撃を受けました。

　数年後、良きリーダーは専門性でチームを率いるのではなく、チームの専門人材をリーダーシップで率いるのだと思い至りました。

　劉氏は、自分が何でも分かるのではないことを認め、専門人材を見つけて、任せるようにしました。自分以上の専門性があることは認めつつ、制度があり、話し合うことができると理解させ、率いることは必要です。

　劉氏が最も変わったのは、間違えたときに謝るようになったことです。判断が間違っていたり、批判した後に間違いだったと分かれば、素直に謝り、皆で解決方法を探したり、意見に耳を傾け、妥協点を探すようになりました。

　言いわけすることが多かったころは、従業員は不満があれば辞めていき、建設的な意見を述べる人はいませんでした。組織にとってメリットは何もなかったと振り返りました。

利下げ局面に対応

　元大投信の短期戦略は、市場に連動するパッシブ運用と、市場平均以上の利益を追求するアクティブ運用の両立です。中期的には、全世界の利下げで、資家の資金が債券市場に流入する「大債券時代」に対応し、株式投資の専門家から、債券投資の専門家となり、付加価値、ブランド価値、資産管理の質を高める戦略です。

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