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華泰大飯店集団(グロリアホテルグループ)はホテル、レストラン、不動産管理、小売りなどを手掛けています。傘下には、▽ホテルの賦楽旅居(ホテル・プロバーブズ台北)、▽台北市中山区のアパートメントホテル、華泰瑞舍(グロリアレンジデンス)──や、レストランなどがあります。台湾最大級の屋外型アウトレットモールの華泰名品城(グロリア・アウトレット)は、2023年売上高が前年比20%増の122億台湾元(約590億円)でした。
米国留学と海外勤務経験
グロリアホテルグループは1970年に設立しました。陳天貴・董事長の長男が、2代目経営者、副董事長兼執行長の陳炯福(ジョン・チェン)氏です。1981年に生まれ、中学3年生のときに米国に留学し、私立大学ボストンカレッジ(BC)数学科を卒業しました。卒業後、ボストンで高校の数学教師として働きました。
その後、台湾に戻り、ドイツ銀行に入行し、ウォール街やロンドンで研修を受け、金融投資の理解を深めました。
海外生活と外資系企業での勤務経験から、国際的な視野を持ち、ビジネスで古い習慣やしきたりにとらわれず、柔軟で大胆です。
ホテルの成功
陳氏は08年に事業を引き継ぐ前、台北市のホテルの分布や市況を手っ取り早く理解するため、1年かけて台北市にある5つ星や4つ星、3つ星ホテルを泊まり歩き、ブティックホテルが少ないことに気が付きました。事前に市況を的確に把握したため、開業後、すぐに人気となりました。
グロリアホテルグループは、柔軟性のあるフラットな組織であることも、成功の鍵と言えます。
陳氏が各部門を管理し、直接、報告を受けるため、事務処理の時間が削減でき、アイデアにフィルターにかかることもありません。
例えば、携帯電話が普及し、目覚まし時計として利用する宿泊客が増えたにもかかわらず、ほとんどの客室のベッドにコンセントが付いていませんでした。陳氏と担当部門が相談し、すぐに枕元にコンセントを設置しました。
アウトレット開業
陳氏は、「儲かる」の一言で、友人だった国泰世華商業銀行(キャセイ・ユナイテッド・バンク)の蔡宗漢・副董事長を説得し、台湾初のアメリカンスタイルのアウトレット、グロリア・アウトレットを15年に開業しました。
昔ながらの百貨店とは違い、入居テナントの10店に1店はカフェというスタイルで、台湾のアウトレットの先駆けとなりました。
年間売上高6億元の古いホテル1軒を引き継いだ08年から10年間で、陳氏は10倍に成長させました。
他人と違うアイデアを
陳氏は、2代目経営者の傲慢さはなく、温和で人当たりがよい性格ですが、言動ははきはきしています。怒ることはあまりありません。従業員が怒らせるようなミスをしたとしても、辛いのはミスをした本人なのだから、怒る必要はないし、怒りは思考に悪影響を与え、割に合わないと考えています。
陳氏が会議で従業員によく話すのが、「どうすればよいかではなく、違うアイデアを考えることだ」というものです。他人がやらないこと、やりたがらないことは、何でもやってみたいと考えています。
嘉義にアウトレット2号店
グロリア・アウトレットは15年に台湾高速鉄道(高鉄)桃園駅前に1号店を開業したのに続き、28年に高鉄嘉義駅近くで2号店を開業する予定です。
近くの景勝地、阿里山にヒントを得て、地上2~3階建てのアウトレットモールを建設する計画です。投資額は48億元、敷地面積は約3万坪で、テナント200以上が入居する予定です。第1期は28年に開業し、32年に全面オープンする予定です。
約1キロメートル先には、ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が嘉義工場を建設する予定で、TSMCの従業員や家族が将来のお客様になることは間違いありません。
荘建中
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