記事番号:T00000133
弊社では経営診断、幹部研修、リサーチ等の実施の際に、台湾人幹部に対するインタビューを行う機会があります。
今回は幹部インタビューの現場から、日系企業で働く台湾人幹部達の苦悩にスポットを当ててご紹介していきます。
● 日系企業台湾人幹部の苦悩
1. ビジョン方針が不明確
日系企業で働く幹部達がほぼ全員と言って良い程、この問題について提議してきます。
逆に日系企業の日本人経営者からは「幹部達は何でも聞きにこないで、自分達で判断してほしい」とお話を伺う事が多々あります。
幹部達のスキルに問題が有る場合もありますが、「経営者がビジョン方針を明確にしていないので、判断基準が無く、幹部達は判断することができない。」という現象が起きている場合がほとんどです。
「我が社では幹部達には伝えているけど…」とおっしゃる経営者もいらっしゃいますが、幹部達の求めているものとは違う、或は伝わっていない場合が多いのです。
ここで言う「ビジョン」「方針」とは数字的経営計画のことではなく、「将来我が社はどうなるのか?」「その為にどのような戦略を採り、どのようなステップで進めるのか?」を指します。
それは例えば「5年以内に業界内トップシェアを目指す。その為に○○を重点とした営業を行い、実現した暁には業界一の給与水準にする」という類いのものです。
同じ日本人同士でも、様々な手段を使いながら何度もコミュニケーションをとらなければならないのですから、海外ではその数倍の努力をしなければ伝わらないと考えたほうが良いでしょう。
2. 昇進昇格のルールが不明確
「日本語が出来るだけで」「ボスには、いつも笑顔で挨拶していて印象が良いから」等の理由で、彼(彼女)は急に昇格していると感じている人達も多く居ます。
「勤続年数や上司の印象で昇進昇格が決まるのではなく、仕事の内容で決めてほしい」との要望もよくお聞きします。
3. 日本人が変わるたびに教育しなくてはならない
日本人経営者/幹部と直に接している幹部達からは、このような意見を度々お聞きします。
台湾の事情がわからないにしても、担当分野の基本スキル(経営者なら経営戦略、管理部の責任者なら会計/総務/人事)くらいは習得しておいてほしいという意見です。
同じ経営を担当する者として、これらに十分注意し、働きやすくやりがいの有る会社を目指したいものです。
ワイズコンサルティング 吉本康志