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今回は弊社でおこなっております「モラールサーベイ」(従業員意識調査)から、台湾人社員が日系企業をどう見ているかをご紹介いたします。
モラールサーベイとは、社員へのアンケート調査で、弊社では人事制度導入や研修等の人事労務関係のコンサルティングをする前に、現状把握の為に行っています。
モラールサーベイはアンケートによる定量調査分析ですので、他の企業との比較や日系企業との比較する事により、企業風土や従業員満足度等が数値で把握出来るというサービスです。
● 「理念方針」関係
以前もご紹介しました通り、日系企業に共通する特徴として「方針が不明確」と答える方の割合が多い事です。
経営者が方針を明確にしていない事も多いのですが、台湾人幹部が部下に伝えていないケースも多く見受けます。
● 「上司」関係
日系企業でよく見かけるパターンは日本人の上司を持つ台湾人幹部の上司に対する満足度は高いのですが、その下の階層の満足度は大きく落ち込んでいます。
理由としては
1. 日本人の上司は幹部としての教育を体系立てて受けてきているが、台湾人の場合は体系立てて受けているケースが少なく、幹部としてのスキル自体に問題が有る。
2. 日本人を上司に持つ台湾人幹部は、日本人の考え方や習慣等をある程度理解出来るが、部下には伝えにくい。
3. 日本人を上司に持つ台湾人幹部は日本語ができ、長く働いているだけで能力的には部下に負けている場合が多い。
等のパターンを多く見かけます。
● 人事報酬関係
日系企業、台湾企業に関わらず、この分野の不満は多いのですが、日系企業の特徴は
1. 人事制度が不明確
2. 昇格出来るチャンスが少ない
3. 教育訓練が少ない
4. よくやる者が報われない
に不満が集中する事です。
また、給与水準が全体的に高いのにも関わらず、賃金が安いと答える人が多いのも特徴です。
● 職務関係
日系企業では台湾企業より、「仕事に対する充実感」が低い傾向にあります。
それから、これは制度化・標準化が進んでいるからかもしれませんが、「自分の仕事は誰にでも出来る内容」と答える人が極端に多いという特徴もあります。
● 対人関係
対人関係については、
1. 社内の雰囲気が悪い
2. 他部門との連携がとれていない
3. 社内に派閥が存在する
4. 社内でのえこひいきが多い
が代表的な特徴になっています。
モラールサーベイから見た日系企業の全体的な特徴としては「出世よりも安定を望む人達が多い組織」と言えます。
ワイズコンサルティング 吉本康志