記事番号:T00000146
●興信所利用によるトラブル事例(1)
日系の機械販売企業であるP社三好總経理と台湾企業M社張總経理は友人であった。
ある時、張總経理から三好總経理に「おたくの機械を導入したい」とのオファーがあった。
しかし確かM社の財務状況は厳しいと聞いていたので、三好總経理は頭を悩ませた…
張總経理に直接聞くと友人関係に影響があるかもしれない。
かといって何億もの貸倒リスクを負うわけにはいかない。
そこで秘書に大手の興信所を調べさせ、与信調査を依頼した‥‥
後日、突然張總経理から「もう、貴方とは絶好だ!」との電話を受けた。
詳しく聞いてみると興信所の調査員が直接張總経理を訪問し、「P社の三好總経理からの依頼で、貴社の信用調査に来ましたのでインタビューに答えて下さい。」と言われたそうである。
三好總経理は、まさか本人に直接聞きに行くとは思っておらず、また自分の名前を告げられるとは夢にも思っていなかった。
●興信所利用によるトラブル事例(2)
日系企業Z社の小野總経理は、競合W社の会社概況を把握する必要があった。
W社は元Z社の社員が創業した台湾現地企業である。
W社は未上場であるため、売上推移はわからないが、急成長をしている事は聞いていた。
実際にどれ位の売上が有るのかはわからないが、見過ごしならない額なら、早急に対策を打たなくてはならない。
A興信所にW社の概要について調査を依頼したところ「調査不能」という報告書が提出されてきた。
次にB興信所に依頼したが、結果は同じであった。どこか独自の調査ノウハウを持った興信所は無いものだろうか‥‥。
●解説
台湾では非常に多くの興信所が存在し、しかも低価格でサービスを提供しています。
しかし、興信所を利用された方はご存じだと思いますが、調査員は直接先方に訪問しインタビューをしてくるだけで、日本の調査会社の様な特別な調査ノウハウは持っていません。
例えば、与信調査で出てくる財務諸表も上場会社でなければ、被調査者の自己申告にすぎなく、信憑性は薄いものになります。
被調査者がインタビューに応じない場合は、事例(2)の様に「調査不能」というレポートを提出してきます。
つまり、事例(2)の場合は、被調査者が拒否する限り、何度違う会社に依頼しても同じ結果となるのです。
ワイズコンサルティング 吉本康志