記事番号:T00000079
● 年間粗利1億円の壁
一説によると起業の生存率は、3年で50%、5年で25%、10年で10%と言われております。
つまり、起業10周年を迎えられる起業家は10人に1人という確率になります。
しかし、起業家は「生き残るため」に起業したわけではなく、「成功する為」に起業してますので、10年間生き残っただけでは満足できません。
少しでも、成功に近づく為に努力を続けているのですが、方向性を間違えるとライブドアの堀江氏の様にもなりかねません。
「企業は経営者の器以上にはならない」と言いますが、ライブドアは既に堀江氏の器以上になっていたのではないでしょうか。
堀江氏の様に何千億という金額を動かすのは難しいとしても、起業後何年か努力を続けていれば、年間粗利(売上総利益)1億円を実現するチャンスは巡ってきます。
しかし、自分の器を超えて一時的に粗利1億円を実現しても、事業は継続させなければ意味が有りません。
私は経験柄、この「年間粗利1億円(台湾では3千万元)」が起業成長の一つの壁ではないかと感じています。
● 事例
伊藤氏は若くバイタリティーがあり、20代の若さで、後輩の加藤氏とともに企業サービス業で起業した。
二人の努力が実り、創業2年目には年間粗利額2,000万元、3年目には2,500万元を実現し、順調な成長を遂げていた。
しかし、3年目から始まった伊藤氏と加藤氏との意見の相違により4年目のはじめには加藤氏は伊藤氏の会社から離れる事になってしまった。
今まで双発エンジンで成長していたのが単発エンジンとなったのと、競合の参入により経営規模はいっきに縮小した。
粗利額は、4年目は1,500万元、5年目には1,000万元を割り込み、6年目を待たずに伊藤氏は廃業を決めたのだった…
● 解説
異なる業種で経営規模を比較するには売上高ではなく、粗利額で比較する必要があります。
経営の成長には「1・3・5の壁」が有りますが、創業の壁(粗利額3千万円(1千万元))を乗り切った起業家が、次に挑むのは粗利額1億円(3千万元)の壁になります。
せっかく創業の壁を乗り越えても、次の壁が乗り越えられず消えていった起業家は沢山います。
創業の壁は大きなラッキーが一つ有れば乗り越える事は可能ですが、次の壁はラッキーだけでは乗り越えられません。
年間粗利1億円以上を継続する為には、もはや経営者1人では不可能であり、個人のスキルに頼った経営から、組織力を活かした経営に早く経営システムを転換する必要があるのです。
ワイズコンサルティング 吉本康志