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第30回 亜都麗緻大飯店総裁 厳長寿氏


コラム 経営 台湾事情 作成日:2008年7月18日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第30回 亜都麗緻大飯店総裁 厳長寿氏

記事番号:T00008914

 
 厳長寿氏は高卒で、23歳でアメリカンエクスプレスの連絡員から身を起こし、28歳で同社の台湾地区総経理となり、32歳で亜都麗緻大飯店の総裁にまで上りつめた。ホテル業に身を投じて30数年、亜都麗緻飯店は厳総裁の指導の下でビジネスホテルのモデルとなり、既に10数軒を台湾と中国で展開している。厳総裁は台湾ホテル業の父であり、独特な経営理念とサービス哲学には目を見張るものがある。

顧客一人一人にサービス

1.ビジネスホテルとして確立

 亜都麗緻大飯店が営業を開始した当時、台湾のホテル宿泊客の約80%は観光目的で、ビジネス客はわずか20%だった。しかし厳総裁は、台湾経済の成長に伴って、ビジネス客の割合が増えていくと考えた。そこで亜都麗緻大飯店をビジネスホテルと位置づけて、一般のホテルとの差別化を図ることにした。顧客サービス向上のため、遠くシンガポールからビジネスホテル専門の秘書を招聘(しょうへい)し、顧客一人一人にサービスするという精神を確立した。

2.「心誠専問送」5つのサービス精神

 「心」とは心から顧客を迎えること。「誠」は顧客の滞在期間、誠心誠意サービスを提供すること。「専」は、例えば食事内容の提案をするような、顧客に特化したサービスを行うこと。「問」は顧客のチェックアウト前に、何か必要なことがあるか尋ねること。「送」は自ら顧客を見送ること。厳総裁はこうしたサービス精神をスローガンにとどめることなく、従業員の個性として根付くまで浸透させた。具体的な方法は以下の通りだ。

全室に携帯電話を配備

(1)滞在客の名前を従業員に覚えさせ、滞在客に「大切に思われている」と感じさせる

 空港に顧客を迎えに行き乗車させた後、ホテルに「左側に乗車の方はスミス様、右側がジョンソン様です」と電話する。名前を覚えたホテルのベルボーイは、到着の際「いらっしゃいませ、ジョンソン様、スミス様」と語りかけ、顧客の心に感動を起こす。

 電話交換台ではすべての部屋の顧客の名前をホワイトボードに書いておき、電話をつなげるたびに名前で呼ぶ。このようにして、顧客に親しみを持たせ、心の距離を近くする。

(2)顧客個人のためだけの専門的なサービスを心掛ける

 顧客の部屋の机に顧客の名前が入った専用のレターセット、さらには名刺(ホテルとの連絡方法が印字されている)を準備する。友人に手紙を書くのに便利で、名刺をタクシーの運転手に見せるだけでホテルに帰ることができる。さらに昨年オープンしたホテルには、全客室にも部屋の電話とつながる携帯電話が置かれ、顧客は滞在している間、持って外に出ることができる。このため顧客は無駄なお金を使うことはない。

 また、すべての階に当番を置いて顧客の要求をチェックして好みをコンピュータに記録し、次回の滞在に備える。こうしたサービスを通じて、顧客は亜都麗緻大飯店を我が家のように感じるようになる。

(3)顧客が要求を出す前にあらかじめ考えて準備をしておく

 全従業員にホストの自覚を持たせ、顧客の好みを把握し、「顧客の考える一歩前を考える」心構えを持たせた。

 厳総裁は、絶え間なく新しい価値を作り出すことで業界のトップに上りつめた。厳総裁の唱える「心誠専問送」の精神はあらゆる業種に当てはまる。この精神で仕事をすれば、顧客や同僚に深い感動を与え、大きな成功をつかむことができるのではないだろうか。


ワイズコンサルティング 荘建中

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