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大手求人情報サイトの「104人力銀行」といえば、大規模なデータベースによって企業と人材を結び付けるマッチングサービスが売り物だ。時代の変化や顧客の要望に応じた、使いやすいインターネットツールを提供し、求人情報サイトでは市場シェアが９割近い圧倒的な首位にある。求職者の会員数は250万人、ホームページのアクセス数は毎日延べ100万件以上に上る。
インターネット業で台湾初の上場
同社の董事長である楊基寛氏は、かつて２年間、「中年失業者」だったこともある。1996年にこの業界にめぐり合い、「人間味のある求人・求職サービスの提供」という企業理念の下、求職者に対しては「仕事だけでなく、働く方向性を見つけ出す」、求人企業に対しては「単なる人材でなく、貴社のパートナーとなる人を探す」ことをモットーとし、第２の人事部になろうと心掛けてきた。
楊董事長は自身について、「社会で働く一員」であり、「商売人」ではないと考えている。熱心さと気配りを武器に、独自の方法で経営規模を広げ続け、2006年２月には株式市場への上場を果たした。台湾のインターネット企業では初めてのケースだった。
ではここからは、楊董事長の成功の秘訣を探っていこう。
１. インターネット発展のタイミングを見極め、一歩先じて市場に進出
同社は創業当初、さまざまなメディアに広告を打ち出した。104人力銀行のホームページで求人や人材のデータをいかに速く探し出すことができるかを知ってもらうため、ポータルサイトにリンクも貼った。このときは知名度を高めることを目的に、サービスを無料で提供した。
楊董事長にとって、インターネット人材バンクとは、「求人票と履歴書が常に増え続け、それによって、企業と個人ユーザーが入会すること」に価値がある。つまり、「回転を作り出すこと」が経営の課題なのだ。
２. Ｂ２ＣからＢ２Ｂに、顧客と良好な関係を築く
104人力銀行は、まずＢ２Ｃ（企業－個人）、つまり求職者側から攻めた。個人のデータベースが集まり、情報の厚みを蓄積してから、Ｂ２Ｂ（企業－企業）、企業側との取り引きに転じ、収入を得るようになった。
企業からすれば、年に１度、アシスタント１か月分の給料相当額を支払うことで、104人力銀行による人材マッチングサービスを受けられる。104人力銀行は、電話や電子メールでの連絡を毎月行い、企業の現状と今後の需要を把握し、常に顧客の満足度を高める努力をしている。このため、契約の更新率は60～70％に上る。「第２の人事部になる」という理念をまさに実現させたのだ。
３. 創造し続けることで、競争に勝ち続ける
104人力銀行は、ブランド力の強化と競争力維持のため、専門性の向上と付加価値サービスの拡大に力を注いでいる。かつて、台北世界貿易センター第３号館で、「仕事・研修・創業の大博覧会」を開催した際は、広告費用は２日間で1,500万台湾元（約5,200万円）にも上った。同時に開催したオンライン博覧会では、求人企業と求職者のため、従業員数百人が面接の予約代行に当たった。
このほか、データベースを「家庭教師」、「アルバイト」、「管理職の紹介」、「人材派遣」、「業務委託」などに分類した。「職場との相性」、「市場調査」などのサービスも確立した。
こうした「オールマイティな人材サービス」への転換によって、顧客に一度で十分な満足を提供することができるようになり、申し込みもさらに増えた。市場の先頭を走ることで、競争力を高めてきたのだ。
仕事探し、まず104
インターネットでの創業に成功するために最も重要なのは、「現実社会に存在する問題を解決すること」と楊董事長は考える。解決方法がよければ、ビジネスチャンスは自然にやってくる。
楊董事長によると、同社のモットーはベースにヒューマニティー（人間味）がある。顧客が満足を感じることが、104人力銀行に愛着を感じて、利用し続けることにつながると考えている。
104人力銀行は、就業の機会を提供するだけでなく、仕事に関する生涯設計の手助けまで手掛ける。大規模で豊富なデータベースを手中に収め、専門的な分析を行う同社は、まるで就職市場のイメージキャラクターのようでもある。いまや台湾では、仕事を探す人は誰もが、まず104人力銀行にアクセスする。
ワイズコンサルティング 荘建中
