ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

第21回 宏達国際電子執行長 周永明氏


コラム 経営 台湾事情 作成日:2008年2月14日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第21回 宏達国際電子執行長 周永明氏

記事番号:T00005470

 
 1997年、コンパックの携帯情報端末(PDA)OEM(相手先ブランドによる生産)から出発した宏達国際電子(HTC)は、10年後世界最大のウインドウズOS搭載携帯電話メーカーに成長した。世界におけるウインドウズ搭載スマートフォンの10台に7台はHTCが製造したものだ。利益が低迷する電子業界において、周永明執行長(CEO)率いるHTCは、粗利益率37%、一株当たりの利益(EPS)は50台湾元(約170円)にも達する。「なぜそんなに利益を上げられるのか」との問いに周氏はこう答える。「簡単なことだ。他人を『コピー』しないことだ」と。

独自のスタンスと方向性を追及

 競争相手は周永明氏の眼中にない。頭の中には一貫して「革新」の二文字があるのみだ。
 「宏達を始めた時、我々はあえて競争相手を見ないようにした」という周氏は、企業が戦略を立てる際、競争相手に目が奪われると「戦略の重心が相手方に移り、ライバルに勝つことばかりを考え、ついには相手のルールに縛られてしまうことになる」と強調する。また、「台湾の産業界に何かブームが起きても、私は追随しない」と語る。「やみくもに競争相手とのダンスに付きあっていては、いつまで経っても自らの価値を創造することはできない」というわけだ。

 創業当初、周氏とその起業パートナーは、パソコン産業は既に成熟を迎え、マイクロソフトとインテルの作った枠組みが固まっており、革新を起こすことは難しいと判断した。そこで周永明氏はパソコン産業とは一線を画し、「いかにして既存市場でシェアを獲得するか」から、「いかにして現在の需要の先を行くか」へと思考を切り替えた。このこだわりが、市場は大きくないが将来性は無限と見えた携帯型電子製品市場へとHTCを向かわせた。しかも採用したシステムは、シェアトップの「Palm OS」ではなく、当時は誰もが見向きもしなかったマイクロソフトの「Windows CE」だった。

 周永明氏は社員に対しても革新を求める。新組織立ち上げのように、新たに環境を変える必要があるときは、専門チームを組んで計画に当たらせる。通常業務との兼務でストレスを抱えながら仕事をさせるのではなく、ゆっくりと時間を与えて作業に打ち込ませる。計画に進展があれば、その貢献をたたえ、「会社にとって価値ある人間だ」と激励する。

 「このやり方には限界がある」と問題点を相談に来る社員もいる。しかし周氏は、「『こういうネックがあるためできない』と私に相談するのではなく、自分で限界を乗り越える方法を考えなさい」

台湾流経営策略台湾の名経営者

情報セキュリティ資格を取得しています

台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。