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第27回 聯強国際集団総裁 杜書伍氏


コラム 経営 台湾事情 作成日:2008年5月23日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第27回 聯強国際集団総裁 杜書伍氏

記事番号:T00007628

 
 聯強国際集団(シネックス・テクノロジー・インターナショナル)は、IT(情報技術)製品販売で世界2位の企業だ。主にパソコン(PC)などの販売代理を行い、数多くのブランドを取り扱う。中国での販売網は700以上の都市に広がり、国際ブランド、ノキアの携帯電話販売代理権も獲得した。2007年の連結売上高は1,712億台湾元(約5,800億円)、税引前利益は43億6,000万元。販売会社としては、台湾で初めて上場を果たしている。

 その聯強国際集団を率いる杜書伍総裁は、思慮深く、遠い将来にも目を向ける計画性を持ち、また何ごとにも効率のよさを求める人物だ。大風呂敷を広げることも、自画自賛することもなく、着実に仕事に取り組む。

 販売会社が、製造メーカーと異なるところは、全くの内需産業であることだ。徹底した現地化(ローカル化)をはかることで、初めて市場を開拓できる。このため杜総裁は、中国では3タイプの人材を活用した。

 まず、営業には現地の市場を最もよく理解している中国人、商品管理や重要幹部には英語が堪能な香港人、経営や財務の幹部には企画運営力のある台湾人といった具合だ。

 杜総裁は、決して保守的なリーダーというわけではない。

 それをよく表しているのが、売掛金の貸し倒れに対する見解だ。販売会社にとって貸し倒れは頭の痛い問題だが、杜総裁は、貸し倒れが全く起こらない状況は、経営者が業務拡大に対する野心に欠けるからだと考える。また、現金取引だけに絞り、小切手は受け取らないという姿勢では、市場拡大のチャンスを失うと考える。つまり、販売会社の健全な経営には、適度な貸し倒れが付きものと割り切るのだ。

企業文化は「7つのP」

 聯強同集団の企業文化は7つのPで表せるという。

 4つのPは実務面についてで、計画を立てて(Planning)、完璧に(Perfection)、効果を考えて実行する(Performance)。これらを兼ね備えたのがプロ(Professional)だ。

 その次のPは、会社の利益(Profit)の従業員
への還元だ。

 従業員はこれら5つのPを達成できれば充実感や満足感が産まれ、仕事の楽しさ(Pleasure)を感じることができると杜総裁は考える。さらに仕事に「はまって」しまうのが最後のP、誇り(Prestige)を得られる段階だ。杜総裁はこれを「ファンタスティック」とも形容する。

月報でロジックを身につける

 「月報」制度は、同集団の企業文化を日々の行動に落とし込む上での重要な手段だ。従業員は全員、月報を作成しなければならず、報告書のデータから問題を見付け、現状を読み取り、改善方法を分析し、翌月の業務での重要課題とする。

 また、月報はパワーポイントを使用しなければならない。これにより、常に論理的に考え、分析するスキルと習慣を身に付けることができるし、同僚と情報を共有することで、お互いにスキルアップがはかれる。また会議の場では、およそ、大体といったあいまいな表現は認められず、数値での表現が必須だ。

 杜総裁によると、月報から把握できる情報のレベルが、責任者の決定の質に直結する。それはまるで針灸師が病の原因を理解し、適切なツボに針を刺して治療することと同じだという。責任者は月報から日ごと、週ごと、月ごとの部門の運営状況を把握し、おかしな数値を見付ければ、問題点を探し出して、適切な改善処置を講じなければならない。 杜総裁はまた、国際的な大組織をまとめる責任者は、「中事(一般的な問題)」だけでなく、「大事(大局に立った問題)」と「小事(ささいな問題)」も重視しなければならないと考える。

 「中事」とは、業界内での常識に当たることだ。「中事」をすべての部下に教えるだけで、部門は最低限の運営をすることができる。「中事」はできるようになればミスが減り、ときどき確認したり、一定の基準を定めて検査するだけでよい。

 「大事」は、部門の進むべき方向と目標を定め、部下にきちんと伝えることだ。方針を定め、組織を構成し、業務を分担することで、部下は明確な目標に向かって全力で取り組むことができる。

 「小事」は、部下が業務のポイントをつかんでいるかを観察することだ。部下がまだ慣れていないときは、その業務のポイントを教え、質問して理解できているかどうかを確認する。部下が慣れてきたころにさらにレベルアップする方法を教えると、効果は2倍、労力は半分となる。

 杜総裁は、これまで積み重ねてきた業務と管理の経験、独自の経営理念、そしてマーケットを嗅ぎ分ける能力で、将来きっと同集団を国際舞台のトップに引き上げることだろう。


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