記事番号:T00000105
● コンサルタントとしての独立
経営者クラスで駐在し、その後コンサルタントとして独立する方もしばしお見受けします。
コンサルティング業は仕入がなく、粗利率がほぼ100%なので資金繰りは楽であり、また最低自分一人でも開業することが可能な為、リタイヤ後のビジネスとしては最適に思えます。
しかし「台湾での経験を提供しよう」「人脈を活かして受注しよう」と考えて独立しても上手くいく事は難しいと言わざるを得ません。
その理由は、まず「経験」にはほとんどコンサルタントとしての付加価値はないからです。
例えば一昔なら「台湾でのビジネス事情」等の情報の販売は商売になったかもしれませんが、今はメディアが発達している為に、情報が安価に手軽に入手しやすい状況です。
たとえ、駐在員時代にそこそこの成功を収めていても、それらを体系化して成功の為のHOW TOを創り上げるところまでゆかなければ、ビジネスとするのは難しいでしょう。
さらに大切な事は、「クライアントディベロップメント(顧客開拓)」ができるかどうかということです。
もしコンサルティングができたとしても、顧客獲得をする仕組みや営業力が無ければビジネスにはなりません。
コンサルティングファームで営業活動も行い、毎年多額の受注を獲得していたコンサルタント達が独立すると仕事がなくなるのも、このクライアントディベロップメントができないからです。
日本でも中小企業診断士という資格がありますが、苦労して資格を取得しても、同様の理由で多くの人達がビジネスにならずに苦労しています。
逆に仕事が自然に舞い込んでくる仕組みがあるのであれば、ノウハウは少なくとも、コンサルティングをしながら構築してゆく方法もありますし、他人に委託することも可能です。
ですから、「コンサルティングができる人」よりも「クライアントディベロップメントができる人」の方がビジネスとして成り立ちやすいのが現実です。
同業界に携わる者として、クライアント(日本人、台湾人)側の認知度及び利用経験の向上と業界のレベルアップの為に新規参入は大歓迎なのですが、結果としてクライアントを騙したり、クライアントに迷惑をかける方の参入は遠慮して頂きたいと希望します。
但し、当たり前の事ですがクライアントに満足を提供できなければ、仕事はすぐに無くなってしまいます。
ワイズコンサルティング 吉本康志