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第59回 晶華国際酒店集団董事長 潘思亮氏(2)


コラム 経営 作成日:2010年9月3日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第59回 晶華国際酒店集団董事長 潘思亮氏(2)

記事番号:T00025059

 
 企業経営にとって、その規模を問わず最も重要なものは資本だ。近年、台湾の証券市場で多くの企業が減資を行ったが、これは株式資本が長期間経過して膨れ上がってしまったか、または経営戦略にミスがあり成長が望めなくなった企業が、資本を調整して再スタートを切るためだ。

 減資には3つの方法がある。1つ目は欠損金を補てんするため、帳簿上の資本を減らし利益として計上する無償減資。2つ目は実際に資金の一部を株主に還元する有償減資。3つ目は企業組織の整理・分割による減資だ。

 減資は一般の投資家にとっては良くないことと受け止められがちだ。損失続きで負債が積み重なった企業が財務状況の改善のために行うもの、といった印象だろう。

 だが減資によって財務を改善し、自社の株価を高めて企業イメージを高めた好例がある。2002年、安定した利益を出していた晶華国際酒店集団(フォルモサ・インターナショナル・ホテルズ)の潘思亮董事長は、資本金を43億台湾元から21億5,600万元(約58億円)へ引き下げる有償減資を決定、1株当たり5元を株主へ還元した。株式の配当額と投資報酬率を高めるのと同時に、膨らみ過ぎた資本金と遊休資金の縮小が狙いだった。

株価うなぎ上りに

 潘総経理は語る。「ホテル業と建設業は異なる。建設業は借金をして家を建てても販売してしまえば負債はなくなる。ホテルは借金をしてホテルを建てても、宿泊客がいなければ回収のしようがない。われわれにとって最良の手段はホテル施設を借りることで、より少ない資金で利益を得ることができる」と。「台北でホテルを1軒建てるよりも安い」と、5,600万米ドルを投じて「リージェント」ブランドを買収したのはこの考えに基づく(4月19日付ワイズニュース)。

 減資に対して市場の評価は総じて肯定的で、同社の株価は半月で15元から22元へ一気に値上がりした。06年には2度目の減資に踏み切り、資本金を21億5,600万元から6億元に縮小。これにより株価は80.9元から103.5元にまで高騰した。

 財務モデルから考えると、現金による有償減資は確実に財務状況のスリム化に効果がある。もちろん減資後、経営状況に投資家の好評価を得て、株価上昇を持続できるかどうかが鍵であることを言うまでもない。

 晶華国際酒店集団の例では06年の減資実施後、1株当たりの利益(EPS)は3.98元から14.39元に、株価はその後上昇を続け、今年8月30日には522元に達した。潘董事長の名采配が奏功したと言えるだろう。
   
ワイズコンサルティング 荘建中

参考:第57回 晶華国際酒店集団董事長 潘思亮氏(1)


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