コラム 経営 マーケティング 台湾事情 作成日:2012年9月7日
台湾流経営策略 台湾の名経営者記事番号:T00039236
今回は台湾でセブン−イレブンの成長に大きく貢献し、今年6月に惜しまれながらも退職した統一超商(プレジデント・チェーンストア)の前総経理、徐重仁氏をご紹介します。
徐氏は1977年に日本の早稲田大学大学院商業研究科で流通経済学修士を取得した後、統一企業(ユニプレジデント)に入社。78年には統一超商の創設に携わり、翌年には米国のサウスランド社とライセンス契約を結んでセブン−イレブンをオープンさせました。ただ、当時はまだコンビニというビジネスの位置付けが明確ではなく、統一超商は赤字続きとなり、82年には統一企業に吸収合併されることになりました。
それから2年後の84年、自ら希望して再び統一超商に戻った徐氏は、立地条件が悪い店舗を閉店、当時75店あった店舗数を40店まで削減することから着手しました。新たに設置する店舗は人通りが多い交差点沿いとしたほか、顧客ターゲットを18~35歳の若い会社員や学生に設定、「ファミリー向け」から「個人客向け」に照準を合わせて、商品構成、価格、マーケティング戦略なども見直しました。こうした努力を続けた結果、統一超商は8年目にしてついに黒字転換を果たしました。
顧客目線で「便利」を追求
徐氏が目指したのは「最高のコンビニ」ではなく、「最高に便利な小売店」でした。96年には顧客の要望を細かく把握するため、10億台湾元を投じてPOSシステム(Point of Sales、販売時点情報管理)を導入しました。「顧客が望んでいることは何か、自分には何ができるのか」を常に考えて顧客に扮(ふん)して各店をめぐり、「便利」とは小腹が空いたときに一本のフランクフルトが食べられたり、新聞を買いに行くついでに子供の学費を納められるといったことであることが分かったそうです。
経営者としてではなく、顧客の立場で「便利」とは何かを追求し続けた結果、代金引換、予約販売受付のほか、現金自動預払機(ATM)、マルチメディア端末「ibon」の設置、生鮮食品の取り扱いなど、コンビニでのサービスの多様化を進めました。
ちなみに徐氏は勉強熱心で1年に200冊の本を読んでいるそうで、これだけ多くの本を読みこなす秘訣について、「大事な個所だけ読めば2日で1冊読むことができる」と明かしていました。世界のトレンド情報誌やテレビ番組などもかかさずに見ており、「録画しておいてCMを飛ばして見れば1時間のテレビ番組も25分で見終わる」と話していたことからも、効率を重視する人柄がうかがえます。
今や台湾のコンビニ密集度は世界一で、生活に欠かせない存在となっています。私たちが今のようなコンビニライフを満喫できるのも、徐氏が統一超商で築き上げた実績のおかげと言っても過言ではありません。
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