記事番号:T00026350
専門性・機能性の高いエアクッション・シューズの製造販売を手掛ける老牛皮国際(ラニュー)は、1996年の創業以来、一貫して「健康、快適、品質」重視の姿勢を保っており、現在、台湾3大靴チェーンのひとつに数えられる。09年には経済部により「台湾商業サービス業優良ブランド」(この年は10社が受賞)に選ばれている。
現在ラニューは台湾全土に150店舗を展開。品質保証のため、すべて直営方式をとっている。さらに日本でも東京に銀座店、自由が丘店、新橋店の3店舗を構え、品質に対する目の厳しい日本の消費者からも高い評価を受けている。
「ルイヴィトンの皮で靴を作る」
ラニューの革靴の70〜80%には、一般のものより約6割高の英国製皮革が使用されている。同社董事長、劉保佑氏は「ルイヴィトンがバッグを作る皮で、われわれは靴を作っている」と語る。また、履き心地の良さを確保するため、すべての靴は実験室で1,440時間(60日間)に及ぶ圧力テストを受ける。
ラニューは盲目的に流行を追うことをしない。健康に良いということを原則とした上でファッション性を追求する研究開発(R&D)を行い、消費者に両方の満足を与える。
現場の店員には、礼儀よりも専門知識を重視するよう要求。消費者に商品を紹介する際、余計なほめ言葉は省き、その靴が消費者の足に合うかどうかを率直に説明するよう求める。また同社はワンプライスを貫徹する。適正な価格を分かりやすく提示し、消費者が「良いものにはそれだけの価値がある」と認めてもらうことを目指し、「『上の中』品質のものを『中の上』の価格で買える」というイメージを獲得している。
「自分の足で自分の靴を」
劉保佑氏は「自分の足を使って自分に合った靴を作る」というコンセプトのもと、台湾で唯一の「靴病院」を設立。片足を失い義足を付けている人や、糖尿病などの影響で足が変形しているような人など、特殊な足を持つ消費者に合った靴を作るべく、最高の技術でさまざまな難題の解決に努めている。また、教師、看護師など長時間立ち仕事が続く職業、登山や各種スポーツなど、それぞれ異なるニーズに応じた靴も開発している。
このほか2001年には「足部研究所(フットケアセンター)」を設立。40台の計測機器を導入して、▽靴底の硬さ・密度▽靴裏の溝の摩擦力▽曲げた際の耐久性▽ソールの安定性−−などのテストを行っている。
レジャー施設式の新店舗
創業当初、独自の店舗を持たず、百貨店への入居および代理業者に委託して販売を行っていたラニューは、99年に独自店舗の開設を決め、最も多い時で300店まで店舗数を増やした。しかし劉保佑氏はその後、急速な店舗網の拡張に管理が追いついていない上、1店当たりの売上高も停滞していることに気づいた。このため2008年に販路改革を実施し、店舗数を約150店まで削減した。
ラニューの新型店舗。上部にはホームシアターセットの広告が見える(YSN)
ただ、1店舗当たりの面積を広くしてグループ傘下の各ブランドを統合、来店者がコーヒーを飲めるようにしたり、デジタルホームシアターや専用駐車場も設置。複合レジャー施設式の店舗戦略を採用した。店内ではオーディオ・ビジュアル設備まで販売し、単月の売上高は10%近く成長した。
このほか宣伝についてラニューは、テレビ、新聞・雑誌を通じて消費者に印象付けを行っているほか、スポーツマーケティングの活用も重視している。年間8,000万台湾元の経費を投入してプロ野球チーム「ラニュー・ベアーズ」を運営するほか、毎年ハイキングイベントを開催して登山やトレッキングの専門家を招き、そこで靴を試着してもらい、知名度向上や露出アップに努めている。このハイキングイベントの開催は既に10回を数える。
台湾牛のごとく休まず奮闘
劉保佑氏の創業精神は、ラニューのトレードマークである牛の頭骨の図案にも表れている。「人生と事業のため、最後まで休むことなく奮闘する一頭の台湾牛のように」という意味を込めてこのマークが選ばれた。
参照サイト:ラニュージャパン公式HP
http://www.lanew.co.jp/
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