ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

第62回 悠遊カード公司前董事長 連勝文氏


コラム 経営 台湾事情 作成日:2010年12月3日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第62回 悠遊カード公司前董事長 連勝文氏

記事番号:T00026951

 先週行われた5直轄市長選挙では、投票日の前日に起きた連戦・国民党名誉主席の長男、連勝文氏への銃撃事件がセンセーショナルな話題となりました。国民党陣営が台北、新北、台中の3市を維持できたのはこの事件のおかげとも言われていますが、本当のところはどうなのでしょうか。
 
T000269511

連勝文氏(中央社)

 連勝文氏は米コロンビア大学で修士を収め、クレディ・スイスやモルガン・スタンレーの著名な金融機関で働いていたこともあります。2005年9月、国民党中央常務委員に選ばれ、政界の新世代として注目を集めました。

 08年9月、郝龍斌台北市長によって、交通機関のスマートカードを発行する悠遊カード公司の董事長に任じられます。当時は「不適任」、「父親の関係で何もしないで高給を得られる仕事をもらった」など、一部のメディアから強い批判を受けました。しかし、連氏は自らの手腕によってこうした批判を封じていきます。

 連氏が董事長に就任したのはリーマンショックが起きた前の週で、金融商品への投資損失で一時は2億台湾元余りもの損失を出します。資本金の約半分で、一般の会社であれば倒産してもおかしくない状況でした。

 当時、悠遊カードと提携クレジットカードを発行していた国泰、中国信託、富邦、台新の4銀行は、当初の約束だった少額決済メカニズムが実現せず、利益にならないことから、提携の打ち切りを検討していると伝えられていました。連氏は経営危機を乗り切るため各行を訪れて「パートナーとして一緒に利益を上げられるビジネスモデルに変更する」と呼び掛けます。提携銀行を入札で決めていたのを、契約金3,000万元、1期3年で、希望すればどの銀行でもパートナーになれる方式に変更して4行を引き留めたばかりか、兆豊国際、玉山、華南、第一の4行が新たに提携先として加わりました。

小額消費の業者連盟を構築

 また、大リーグの王建民やハローキティ、MBA、歌手の孫燕姿、郭富城(アーロン・クオック)などのキャラクターカードを発行。提携クレジットカードの権利金、キャラクターカードの収入、交通運賃などで会社は瞬く間に2億元の損失を埋め、09年末には1億元の利益も計上します。

 連氏のさらなる業績は、セブン−イレブンや全家便利商店(台湾ファミリーマート)などコンビニエンスストア4社を含め、流通業者24社、1万2,000店からなる悠遊カードで小額消費が可能な店舗網構築を推進したことです。読者の皆さまにも利用されている方が多いのではないでしょうか。

 このほか、金融投資によって傾きかけた反省に基づいて、会社の組織改革も行いました。「悠遊カード持ち株会社」を設立して、悠遊カード公司はカード発行、小額消費の決済、電子認証のみに業務を限定し、投資による「業務外損失」が発生しないようにしました。

 今年5月、連氏は健康上の問題により董事長を退任しました。20カ月の短い任期でしたが、苦労知らずのお坊ちゃんではなく、能力のある経営者であることを証明しました。

台湾流経営策略台湾の名経営者

情報セキュリティ資格を取得しています

台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。