コラム 経営 マーケティング 台湾事情 作成日:2012年11月9日
台湾流経営策略 台湾の名経営者記事番号:T00040372
代表的な台湾の小吃(軽食)と言えば、「魯肉飯」(豚肉のそぼろかけご飯)がその一つに挙げられますね。その値上げ騒動が先月ニュースに取り上げられ、耳にされた方も多いでしょう。今回は、魯肉飯で台湾を代表するチェーンレストランを築き上げた「フォルモサ・チャン(鬍鬚張・日本名ひげちょう)」の張永昌董事長をご紹介します。
「フォルモサ・チャン」東門店(台北市)
前身は父親の屋台
フォルモサ・チャンは、張永昌董事長の父、張炎泉氏が1960年に台北市民生西路の道端で営業を始めた屋台が前身です。働き通しだった張炎泉氏はひげの手入れをする時間もなく、そんな彼のことを常連のお客さんが「ひげの張さん」と呼び、そのまま店名になったわけです。現在では魯肉飯だけで年間9億台湾元を売り上げるまでになり、00年には日本に進出、石川県で2店を展開しています。
2代目の張董事長の経営戦略も、屋台での経験を基礎にしたものです。80年代にマクドナルドなど欧米ファストフードの経営方式を取り入れ、その後も開発センター(R&D)やセントラルキッチン(集中調理施設)を設置、常に商品・サービスの向上を心掛けて今日の成功を築き上げました。
張董事長の経営理念は「昔ながらの味」と「新しさ」の共存です。どこの支店でいつ食べても「同じ味」を実現、また顧客を待たせないように、新店市五股の集中調理施設から調理済みの食材を配送しています。現場では最終調理の1分後、すぐサービスを提供できるよう作業手順を徹底しています。
メニューを積極入れ替え
新しい商品開発にも余念がありません。張董事長の経営戦略の1つがいわゆる「333」戦略で、新商品を開発・販売後の3年目にはその商品の売り上げが総売上高の33%に達しなければならない、というものです。この場合、4年以上を過ぎた既存商品の3分の1がメニューから消えるわけで、毎年のメニューの入れ替わり率は11%に達します。こうした経営努力を背景に、日々たくさんのヒット商品が生まれているのです。
開発センターでは大学教授を研究開発顧問として招聘(しょうへい)し、品質、味、サービスや衛生面の管理まで、フォルモサ・チャンの経営の核心部分を担わせています。
開発センター設立後の97年3月、台湾では口蹄(こうてい)疫がまん延して豚380万頭が処分され、被害総額は1,800億元にも上りました。フォルモサ・チャンも2カ月間で1,500万元の損失を出しましたが、商品の多様化をいち早く実行していたため、一般の軽食レストランに比べ被害を最小限にくい止めることができました。
魯肉飯が空を飛んだ
フォルモサ・チャンは、消費者に提供する商品はもちろん、地域の1軒の店として環境に配慮した事業活動を行い、そのためにはコストを惜しみません。店内では運転音の静かなエアコンを使用、排水管はシームレスステンレスパイプで統一、廃油と水槽を完全分離、自主的に水質検査を行っています。また、食材はすべて台湾産のオーガニックの農作物を使用しています。
10年7月、フォルモサ・チャン魯肉飯は創立50週年を記念して、中華航空(チャイナエアライン)とのサービス提携を実施し、米西海岸への機内食に魯肉飯が登場しました。4万食もの魯肉飯が空を飛び、「世界中で知られるようになるまで魯肉飯を売る」という張董事長の夢が実現したのです。
荘建中
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