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今回は葬儀社「龍巌股份有限公司」を立ち上げ、アジアの富豪50人に資産総額8億5,000万米ドルで41位に入り、世界でただ一人、葬祭業で富豪になったとして経済誌、フォーブスアジア版の表紙を飾った李世聡氏をご紹介します。
龍巌は1992年創業で生前契約に基づく葬儀の実施、納骨堂の運営などを主要業務としており、葬祭業としては台湾で初めて株式市場に上場しました。12年の売上高は48億3,700万台湾元でした。
もともと、李董事長の父親は電気部品の端子製造会社と建設会社を営んでいましたが、跡を継いだ李董事長は、90年ごろ、業界に未来はないと端子製造に見切りをつけ、当時の台北県三芝郷に約60ヘクタールの墓地を購入。葬祭業界へと足を踏み入れました。
目標は世界一の霊園
李董事長は世界一の霊園を追求しており、「思い切り」と「新機軸」をキーワードに他社と差別化を図り、葬祭業に対する印象を次々と塗り替えています。例えば、20年完成予定の納骨堂、「光之殿堂」は有名建築家の安藤忠雄氏に設計を依頼しました。莫大な設計料がかかりますが、その決定は10分ほどで下されたと言います。また依頼に当たっては安藤氏を台湾に招き自分の経営に対する思いを語り、設計の承諾を得ました。
納骨堂の他、骨つぼでも世界的な芸術家や皇室御用達の大倉陶園などと提携し、芸術性の高いものを提供しています。龍巌では、骨つぼのような単調な祭祀用品も一種の芸術品として、デザイン性や品格、個性を表せるようにしたのです。
また李董事長は台湾に初めて湯灌を導入しました。「最愛の家族が最後にできることを」という考えから、社内に専門部署を立ち上げ、人員を育成。ご遺体に対して生前同様に接し、清拭や死化粧などを行い、眠っているかのような状態で入棺を行います。この他、オーダーメイドのかつらの準備など、遺族のさまざまな要求に応えられるようにしています。
ニッチなサービスで付加価値向上
この他、マーケティング戦略でも同社は他社との差別化を強く意識しており、例えば欧米でも多くの賞を受賞した映画「おくりびと」のサウンドトラックが台湾で発売された際には、自社のイメージに合致するとして、単独スポンサーとなりました。それ以外にも生前契約で支払う75%の頭金は信託預金として、いつでもオンラインで残高を確認することができ、透明化されています。またフリーダイヤルによる24時間相談、告別式で流す楽曲の作成なども行い、市場シェアの拡大と同時に顧客満足度や業界の付加価値向上に注力しています。
同社は現在中国にも積極的に投資しており、台湾での成功経験を基にさらに発展していくことでしょう。
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