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大立光電(ラーガン・プレシジョン)のカメラレンズは世界で販売されるスマートフォンの半分以上に採用されており、同製品で世界最大手に成長しました。昨年、売上高が274億台湾元、粗利益率は47.24%、1株当たり純利益(EPS)は71.64元と同社過去最高を更新。今回は勢いのあるラーガンの創業者、林耀英氏を紹介します。
林氏は47歳だった1980年、公務員という安定した職業を捨て、同僚だった陳世卿氏と「大根精密光学」を設立しました。
創業当時、林氏はファクスを買う金も惜しみ、ワープロで作った書面を世界の大手メーカーに郵送し、自社をアピールしました。しかし、知名度のない同社は相手にされず、台湾域内メーカーと取引するだけでした。
その後、ようやくチャンスが訪れました。林氏が7年手紙を送り続けた米コダックが同社に興味を抱き、工場の見学を申し出たのでした。林氏の根気が実を結び、多くの人を驚かせました。
コダックの受注が契機に
工場を見学したコダックは大変満足し、1,000万台のカメラ用レンズを発注しました。これを機に同社の名が世に知れ渡り、その他の大手メーカーからも相次いで受注を獲得しました。
その後、同社は顧客のプラスチック製カメラレンズ需要に応えるため、87年にラーガンを設立。プラスチック製が主流になったこともあり、01年にはラーガンが大根精密を合併し、今日の基礎を築きました。
林氏はラーガン創業当時、自社の技術に自信を持ち、買収や人材の引き抜きには頼らず、どんな製品でも業界一の最高品質を目指すことを決意しました。
現在、ラーガンは資本金13億4,000万元に対し、研究開発(R&D)費が年間10億元を超えています。わずかアズキほどの大きさにすぎない携帯用デジタルカメラレンズに460件以上の特許を保有しており、たとえサムスン電子のような大企業であっても、特許侵害があれば提訴しています。このような徹底的な姿勢がラーガンの成長につながりました。
将軍のような厳しい性格
林氏の性格は真面目で、接待を好まないそうです。林氏は優れた技術、しっかりした管理能力、実力があれば重視されると考えているからです。
そんな林氏の管理体制は大変厳しく、まるで日本の戦国時代の将軍のようだと言われています。従業員は林氏に仕事の詳細を質問されるのを最も恐れているそうです。なぜなら、答えられなければ林氏の叱責が待っているからです。また、ポケットに手を入れて歩いていたり、仕事中にデスクの上に手が出ていない時も同じように注意を受けます。林氏は「仕事は戦闘、闘志がみなぎっていれば、普通は手は体の前にあるものだ」と語り、「ポケットやデスクの上に手がないのは気が緩んでいる証拠だ」と従業員に厳しく説いています
そんな厳しい林氏ですが。、気前の良い一面もあり、毎年利益の20%を従業員へのボーナスに充てています。一般従業員の月給は2万4,000元にすぎませんが、毎年10万〜20万元のボーナスが支給されます。エンジニアクラスになると、100万元以上になることもあるそうです。
神に頼らず己を信じる
また、林氏は無神論者で、台湾で重んじられている日本の「お盆」に当たる中元節(旧暦7月15日)や、新工場着工、落成式などでの神事をせず、物事の全ては自分の意志さえあれば達成できると信じています。
同社の管理体制の特色としては師弟制度が挙げられます。先輩は技術面の指導だけでなく、生活面でも関心を持つようにしています。林氏は師弟制度は経験だけでなく、創業当時の助け合いの精神も受け継ぐ重要なものだと説明しています。
学歴を重んじないことも同社の特色の1つです。R&Dや管理チームの主力従業員は5年制専科学校(日本の高専に相当)や大学卒で、一流大学かどうかや海外留学経験は問いません。林氏は高学歴を鋭利な刃物に例え、サトウキビの皮を剥がすのに鋭利な刃物は重宝するけれども、経験や工夫がなければサトウキビ自体を折ってしまうと考えているからです。
林氏は10年に董事長職を退きましたが、昨年2人の息子が同社の董事長、執行長に就任しました。林氏の教えは企業文化としてしっかり根付き、先月13日には株価が台湾株式市場最高の1,400元の大台に乗るなど好調を維持しています。
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