コラム 経営 人事労務 台湾事情 作成日:2015年2月6日
台湾流経営策略 台湾の名経営者記事番号:T00055337
今回は、鉄鋼の民間最大手、義聯集団(Eユナイテッド・グループ)の創業者、林義守氏を紹介します。
林氏は現在74歳、台中の貧農の家庭に生まれ、学校教育を受けられなかった上、父親を19歳で亡くすなど、厳しい環境で育ちました。父親の死後は、自ら布売りや建築業などの商売を始め、1978年に高雄で「燁興企業」を創業し、鉄鋼メーカー義聯集団の基礎を打ち立てました。その後、会社は台湾の経済成長の波にも乗って民間最大の鉄鋼メーカーに育ち、林氏は台湾鉄鋼業界の父と呼ばれるようになりました。
鉄鋼メーカーから巨大企業集団へ
ところが97年、アジア金融危機の影響により、負債600億台湾元を抱える財務危機に直面します。それでも幅広い人脈を駆使して困難を乗り越えました。最近では、鉄鋼業で中国、東南アジア進出している他、本業以外にも高雄市で大学を中心とした教育事業、病院経営を軸とした医療事業、年間70億元(14年)の売上高を誇る大型複合商業施設、義大世界(E-DAワールド)や、台湾プロ野球、中華職棒大聯盟(CPBL)の「義大ライノズ」などを営む不動産・レジャー事業を展開しています。まさに台湾を代表する一大企業集団となりました。
臨機応変の人材登用
林氏がここまで事業の多角化に成功した要因の一つとして、独特の人材登用法があります。林氏は、商売においてお互い利益が得られるならば、過去のしがらみなど関係なく、パートナーとして付き合っていくという理念を持っており、本業以外の事業責任者には外部からその道のプロを招き、自身は側面支援に徹してきました。例えば10年、当時陳水扁前総統に対する贈賄案の渦中にあった陳敏薫・台北金融大楼(台北101)元董事長を義大世界内のホテル、義大皇冠假日飯店(クラウン・プラザ・カオシュン・E-DAワールド)の董事長に招きました。これにより専門分野に精通した事業パートナーによる経営が行えるとともに、時の話題をさらうという効果もありました。
林氏自身の仕事に対する態度も独特なものがあります。林氏は今でも毎日12時間以上働き、さらに春節(旧正月)の前日以外は土日、正月関係なく働きます。毎週土曜日には必ず幹部会議を開き、経営に目を光らせています。林氏は運動する暇もない自身の生活ぶりについて「仕事も運動も似たり寄ったりだ」と語っています。
創業地・高雄の発展に貢献
今や義聯集団の顔ともなった義大世界は、中国、東南アジアからの観光客の主要観光スポットとなり、特に年越しイベントの注目度は、台北101の年越し花火に匹敵するまでになりました。
また、不動産・レジャー事業では、現在、高雄市に総投資額370億元をかけて、新たな複合商業施設「義大亜洲広場」と「義大亜洲帝国」を建設中です。これらのプロジェクトでは9,000人以上の雇用機会を創出し、高雄市の経済発展、雇用、人材流出抑制に貢献できると期待されています。
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