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製靴大手の豊泰企業は、1971年に王秋雄氏が創立したスニーカー専門の製靴メーカーです。製靴最大手、宝成国際集団(PCG)に次ぐ業界2位で、ナイキを最大の顧客としており、世界で販売されるナイキのスニーカーの6分の1余りを生産しています。本社は雲林科技工業園区(雲林県)にあり、中国、ベトナム、インド、インドネシアに生産拠点を擁します。現在の社員数は約9万5,000人に上ります。
厳しい就業規則
王氏が豊泰企業を創立した当時の資本金は200万台湾元。米国の生産プロセスをまねて台湾の製靴メーカーで初めてベルトコンベヤーを導入し、生産効率を大幅に向上させました。ナイキのスニーカーの生産を始めたのは77年で、ナイキのグローバル展開戦略を受けて、88年より中国、ベトナムなどに生産拠点を拡大しました。
92年にはナイキと共同でナイキにとってアジア初となる研究開発(R&D)センターを設立。豊泰はその後、ナイキにエアクッション技術を用いたスニーカーを提供する唯一のサプライヤーとなりました。世界中で愛用されている「エア・ジョーダン」もここから生まれたのです。
王氏の経営の一つの特徴に、社員に対し厳格な管理を行うことがあります。就業規則で、▽会社の敷地内では携帯の電源を切る▽二輪車乗車時はヘルメット着用、自動車は運転席および助手席はシートベルト着用▽工場内で5センチメートル以上のヒール靴の着用禁止▽喫煙・飲酒厳禁──などのルールを定め、生活習慣を律することも求めます。こうした管理制度と、それを反映した企業文化はそのまま海外工場にも移植され、例えばインド工場では、応接室の椅子の位置が床に印を付けて細かく決められているとのことです。
実はとても社員思い
王氏の社員管理が人一倍厳しい反面、非常に社員思いな一面もあります。79年に社内の2,000坪余りの広大な敷地に社員の子女が通える幼稚園を設けました。幼稚園運営にかかる人事費、光熱費などは全て豊泰企業が負担し、社員は毎月1,000元余りと格安の費用で利用できます。幼稚園の他にも、社員の福利厚生の一環として、プール、温泉、テニスコートなどを備えた6,000坪のレクリエーションセンターも設立しました。
また、王氏は創業当初から社員に残業を一切しないよう求めてきました。社員が家族との時間を確保できるようにと、数年前には例外的なケースを除いて残業を禁止する規則を定めました。社員は遅くても午後6時までには退社しなければならず、警備員が残業している社員がいないか社内をチェックして回るほどの徹底ぶりです。
王氏の経営手法は一般的な製造メーカーとは一線を画していますが、豊泰企業の事業が成功した秘訣はここにあるのかもしれません。
荘建中
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