コラム

記事番号:T00066334
2016年9月9日15:39

 シャープ社長に就任した戴正呉氏(鴻海精密工業副総裁)は先月、抜本的な構造改革13項目を掲げ、2年以内に黒字転換を果たしたいと発言しました。詳細は8月23日付ワイズニュース「鴻海のシャープ改革、黒字化の期限設けず」(https://www.ys-consulting.com.tw/news/65972.html)などをご覧いただくとして、今回は戴氏の鴻海での仕事ぶりを振り返ることにしましょう。

 戴氏が郭台銘(テリー・ゴウ)董事長の厚い信頼を得たのは徹底したコスト管理だけが理由ではありません。パソコン市場の成熟に伴い、PC業務を別の人に任せ、ソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション2(PS2)」の受注を獲得し、新しい事業を切り開いたことも大きな理由です。

 ソニーがプレイステーション2の発注先を決定する前夜、鴻海はライバル企業の入札価格を知り、これでは受注できないと悟りました。そこで、同社主管が当日の最終便で日本に飛び、翌朝一番、ソニー担当者を待ち伏せ、新たな入札価格を提示したといわれています。スピード感あふれる対応が勝負を分け、鴻海は巨額の受注を手にしたのです。

1日17時間の仕事人間

 エピソードをもう一つ。台湾大学が開催した青年フォーラムで、学生が郭董事長に起業の秘訣を尋ねたことがあります。郭董事長の回答は「起業した当初は電話帳が枕代わり、新聞紙が枕カバー代わりでした。起業してから30年以上、1日16時間以上働いています。君にできますか?」

 郭董事長が1日16時間働く中、戴氏は1日17時間仕事をし、郭董事長が毎朝8時から会議を開くため、戴氏は毎朝7時前に幹部を集めて準備していました。そんな生活を30年間送ってきた戴氏は、「拚命三郎(一生懸命三郎、『水滸伝』登場人物石秀のあだ名)とも呼ばれています。

 郭董事長は、簡単に昇進させないことで有名です。戴氏が順調に課長、経理と昇格していったのは、それだけ郭董事長に認められていたからなのでしょう。

信賞必罰、2年で黒字化できるか

 戴氏は、口数が少ないですが有言実行で、個人の社歴よりパフォーマンスで評価して部下を管理するタイプです。シャープ社長就任後、信賞必罰(功績ある者は必ず賞し、罪過ある者は必ず罰すること)の人事を徹底すると宣言しました。また、構造改革として▽分社化経営▽組織のスリム化▽執行役員の大幅削減──を掲げました。コストカッターと名高い戴氏ですが、約束通り2年以内に黒字転換を果たし、シャープをグローバルブランドとして再び輝かせることができるのでしょうか。

第121回 鴻海精密工業副総裁 戴正呉氏(シャープ社長)(1)
https://www.ys-consulting.com.tw/column/66068.html

荘建中

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シニアコンサルタント

難しい事をわかりやすく伝えるプレゼン力はワイズNo.1、毎年セミナーや研修で200回/年を越える講演を行っている。