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セブン−イレブンを台湾のコンビニエンスストア最大手に育て上げた徐重仁氏は35年近く務めた統一企業(ユニプレジデント)グループを辞した約1年半後の14年1月、スーパーマーケット最大手、全聯福利中心(PXマート)の林敏雄董事長に請われ、65歳で同社総裁に就任しました。その後3年間で、全聯を約700店から900店近くまで急成長させ、業界地位の座を確固としたものにしました。
徐氏は顧客視点がアイデアの源です(全聯リリースより)
流通業界の父と言われる徐氏について、統一超商(プレジデント・チェーンストア)総経理としての前回(https://www.ys-consulting.com.tw/column/39236.html)に続き、全聯の総裁としてご紹介します。
周りから学ぶ姿勢
徐氏は統一入社前の77年、早稲田大学大学院の商学研究科で修士課程を修めましたが、「自分は事業でも経営の勉強でも苦学タイプだ」と話しています。子どものころは目立たず、学校の成績もあまり良くなかったため、大学時代、多くの人の優れた点を体現する突出した人物になる目標を立てました。徐氏はそれ以来、誰と話し、何を見るときも、長所を見つけて学ぶ姿勢を持ち続け、「与える」だけでなく「受け取る」ことを大切にしています。
また、どんなに忙しい中でも毎日30分の読書を欠かさず、世界経済の動向把握に努めています。1年で読む雑誌や書籍は300冊を超え、インターネット、日本の経済新聞や経済番組も熱心に見ています。徐氏を見倣い、社内には学ぶ文化が根付きました。
部下は「タクシーの運転手」
徐氏は、目標を定めると容易にあきらめず、徹底してやり抜きますが、従業員に対しては怒るより、穏やかに対話し、辛抱強く、愛情を持って導くリーダーです。
例えば、部下が仕事の方法が分からないのは普通のことで、上司は自分の指示が明確だったか、説得力があったか振り返るべきだと考えています。リーダーには権力でなく信頼が必要で、単に命令したり、叱ったりするのでなく、正しい目標や方向に導く責任があるからです。
また徐氏にとって人材は、外部から引っ張ってくるのでなく、育て上げるものです。重量挙げで20キログラムのダンベルを軽く持ち上げられるなら、もっと力があると判断するように、人材育成でも常に潜在力を考慮しながらチャンスを与え続けます。
部下の負担を増やす際には、権限も与えなければなりません。方向性や戦略を明確に説明し、もし部下が正しくできていれば、あれこれ口を出さず、一任します。これは、タクシーに乗車するとき、運転手に目的地を告げれば、道順はプロである運転手に任せるのと同じで、「右に、左に」と指示する必要はありません。ただし、放任とは異なり、幹部に毎週報告書を提出させ、状況を理解した上で、翌日には指示や意見をフィードバックしています。
徐氏は誰に対しても平等かつ表裏のない態度で接するため、従業員は徐氏を信頼し、帰属意識が高まり、会社の目標に向かって一致団結するのです。
では、徐氏がこうした経営哲学や理念で、全聯を3年間でどのように改革したかを次回お伝えします。
(次回に続く)
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