コラム

記事番号:T00073485
2017年10月20日15:40

 昇恒昌(エバーリッチDFS)は桃園、台北松山、台中、高雄など台湾の全ての空港に免税店を出店しています。台北市内などにも店舗があるほか、2015年にはアジア最大の免税店を併設する金門島初の5つ星国際観光ホテル、昇恒昌金湖大飯店(エバーリッチ・ゴールデンレイクホテル)をオープンしました。

革職人の見習いから

 エバーリッチ董事長の江松樺氏は貧困な家庭の長男として生まれました。小学校卒業後、父親には進学せずに農業をするよう言われましたが、母親が技術を身に付けるべきと大反対したことから、家族と離れて台北で革職人の見習い修行を始めました。そこで江氏は、他の人は1枚の革からかばん2個しか作れないところを、緻密な計算で2.5個分切り出すことができました。

 18歳の時、革製品の製造会社を起業しました。60年代当時は環境意識が低く、ダチョウやワニ革でかばんを作っており、日本人観光客から高い人気を得て、商売は好調でした。その後、環境意識が高まる中、ブランドバッグが流行し始めました。江氏は小学校しか卒業していませんでしたが、懸命に語学を学び、持ち前の交渉力で、日本、欧米のブランドバッグの台湾での販売代理権を獲得しました。

 江氏のブランドバッグ販売が軌道に乗ると、契約していた海外のブランドが自社で利益を得るため、販売代理権を回収してしまいました。江氏はそれでも海外ブランドと良好な関係を保ち続けました。この人脈が、エバーリッチが急な在庫不足に陥っても各ブランドが融通してくれるなど、免税店を成功させる重要な基盤となりました。

市内にも免税店

 全ブランドの販売代理権を回収され、江氏は95年、免税店に参入するため、エバーリッチを設立しました。台湾の免税店は当時、仏LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)傘下のDFSが経営していましたが、97年、高雄国際空港(小港空港)でのテナント入札でDFSに不備があり、次点だったエバーリッチが台湾の免税店の経営権取得に成功しました。

 エバーリッチはその後、台北市の民権東路と内湖に予約販売センターをオープンしました。これにより、観光客は市内の店舗でゆっくり商品を選び、空港で購入した商品を受け取ることができるようになりました。この仕組みなら空港に権利金を支払う必要がなく、同社にとって最大の収益源となっています。

台湾企業を支援

 江氏は、計算高い商売人である一方で、「5台湾元必要と言われたら10元渡す」ような懐の深さも持ち合わせています。例えば、桃園国際空港でテナントを出店する企業には、公共エリア建設が義務付けられています。エバーリッチは1億元もの大金を投じ、台湾をテーマにした待合室21室を設置しました。このアイデア溢れ、美しい待合室は、世界中からの観光客に台湾をうまくアピールしています。

 またエバーリッチは免税店の一角で、パイナップルケーキや茶葉といった台湾の特産品を販売しています。さらに消費者に対し、メーカーで直接購入するように勧めています。これまでDFSが免税店を経営していたときにはなかった、台湾に価値を生み出すウィンウィンの経営手法です。


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荘建中

荘建中

シニアコンサルタント

難しい事をわかりやすく伝えるプレゼン力はワイズNo.1、毎年セミナーや研修で200回/年を越える講演を行っている。