記事番号:T00071829
車王電子(モバイルトロン・エレクトロニクス)は世界最大の自動車アフターマーケット(AM)向けエンジン用電子部品メーカーです。
1982年の設立当初、資本金は120万台湾元、従業員は2人しかいませんでした。蔡裕慶董事長は、自動車に電子部品があまり搭載されていなかった当時に、電子式点火装置など自動車用電子部品を主要製品と位置付け、昼は営業、夜は製品開発と休む間も惜しんで働きました。
その結果、初年度68万元だった売上高は翌年600万元、3年目に2,900万元と急増。工場拡張が急務となり、台北から土地の安い台中に移転しました。中国の寧波工場や米国子会社などを設立後、01年に株式上場を果たし、16年連結売上高が23億台湾元を超えるまでに成長しました。
現在は自動車用電子部品が売上高の73.6%、電動工具が残り26.4%を占めています。従業員は1,000人以上。台中と寧波の3工場で生産し、世界100カ国以上に製品を販売しています。
研究開発を重視
車王電子は毎年売上高の5%を研究開発(R&D)に充て、研究開発者が従業員の10%以上を占めるなど、研究開発を非常に重視しています。
例えば、同社の電動ドライバーは見た目は他社とあまり変わりませんが、ドライバーの先端にライトを搭載しているので暗所でも作業がしやすく、バッテリーが切れたときには取っ手を外して手動で使えます。このように簡単なアイデアを組み合わせることで、世界で通用する特許を保有しています。
さらに蔡董事長は06年、▽運営の最適化▽テレマティクス(自動車のIT化)の研究▽他社との戦略提携──を担当する幹部3人を総経理室に配属しました。現場から切り離すことで、日常業務の業績目標や評価にとらわれず、ビジネスチャンスを模索したり、経営体質を改善することに専念させる狙いです。
このうち1人が、自動車のメンテナンスの際には、車王電子の主要製品の電子式点火装置だけでなく、センサーも同時に交換することが多いことに気づきました。そこで同社の製品ラインアップに加えたところ、世界100社以上の自動車メーカーに採用されるなど、大きな成果を挙げています。
顧客サイドからIoT化
このほかに蔡氏は、製造、販売、サービスの機能を一体化したプラットホームを構築しました。
これにより、海外の顧客でも、電話でやり取りすることなく、車王電子の公式サイトに欲しい部品の自動車の車台番号を入力するだけで、電子カタログを見て注文することができるようになりました。入力と同時に競合の製品情報まで表示されるので、価格の比較も簡単です。
注文が入れば、車王電子はタブレット端末でその製品の型番と数量だけでなく、倉庫のどこにあるかまで確認し、出荷することができます。さらに、倉庫の在庫が少なくなれば、自動的に工場に生産依頼を通知したり、原材料メーカーに発注する仕組みです。
その上、蔡氏が台中の本社にいても、世界中の拠点の前日の売上高から、注文があった製品ごとの粗利益率まで確認することができるのです。
車王電子はまず、こうした海外の顧客に対する即時オンラインサービスを実現しました。今後はIoV(車のインターネット)が同社にもたらす商機に期待を寄せています。
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