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饗賓餐旅集団は、台湾でよく知られたビュッフェ「饗食天堂」などのレストランを展開しています。平日、休日を問わず行列のできる人気店です。
饗食天堂の全10店はいずれも350席以上の大型店舗だ(YSN)
祖父の店を流行の場所に
饗食天堂の歴史は、総経理の陳毅航氏の祖父が1971年に桃園で開いた四川レストラン「福利川菜餐庁」にさかのぼります。
陳氏は83年生まれ、台湾大学工商管理学部を卒業後、家業を継ぎ、弁当の注文受付や食器選びといった雑用から始めました。
陳氏が入社した当時、各店舗の経営権はそれぞれ異なり、陳氏の父が最大株主の店舗もあれば、別のベテランが株式を持つ店舗もありました。店舗の間には統一した会計、財務基準がなく、現代的な管理制度もありませんでした。
例えば、各店舗のシェフによる食材発注は、手書きのファクスで購買部門に伝えられており、品目の名称さえ統一されていませんでした。あるシェフが「親指ほどの大きさのトウガラシ」と発注すれば、購買部門は経験を頼りに、シェフの意図するトウガラシの種類を判断しなければならないといった具合でした。
このため、購買部門が発注を取りまとめるのに午後11時、12時を過ぎることも珍しくなく、午前4時に市場で仕入れる際には、価格を比べたり、値切ったり、新しい仕入先を開拓したりする余裕などありませんでした。
当時23歳で、まだ董事長助理だった陳氏は、200万台湾元(約750万円)を投じて「電子発注システム」を導入することを提案しました。しかし、システムに疎い先輩社員たちから猛反対に遭いました。
「そんなお金をかける必要があるのか?」と反対する先輩社員たちを説得するため、陳氏は経済部の飲食業電子化コンテストに企画書を提出しました。そこで見事1位を勝ち取り、140万元の補助金を獲得しました。これにより無事システムを導入し、各店舗のシェフがパソコンで購買部門に食材を注文するようになりました。
饗食天堂は現在、白エビ、生がき、マグロといった大量の輸入海鮮物は購買時期をあらかじめ決めています。足りなくなったら発注するわけではありません。生鮮野菜や果物は、10日ごとに調達しています。これにより、食材コストを7%抑えることに成功しました。当時の売上高なら、およそ6,000万元を節約できた計算です。
陳氏は09年5月、総経理に就任し、管理、人事、マーケティング、購買、技術などの部門を設立しました。同時に各店舗の経営権を整理し、幹部の持ち株制度を導入しました。コスト削減のため、セントラルキッチンも設置しました。
顧客満足は未来の売り上げ
饗食天堂は、台湾で初めての制限時間を設けていないビュッフェスタイルのレストランで、台湾に10店舗あります。オープンキッチン方式で、舌だけでなく、目でも料理を味わうことができます。毎月メニューの3割を入れ替えているので、何度来店しても飽きることはありません。
陳総経理は、顧客により良いサービスを提供するため、テストを繰り返し、品質を数字で管理しています。例えば、刺し身は厚さ7ミリメートルが最も食感が良く、ステーキは厚さ1.5センチが顧客満足度が高い、テーブルの間隔は1.1メートルが快適、といった具合です。
陳総経理にとって、顧客満足度は売り上げよりはるかに重要です。今日の満足は明日の売り上げにつながるからです。饗食天堂の来店客の65%が平均2カ月後に再び来店します。もし満足でなければ、2カ月後の売り上げに響くのです。
最高級ビュッフェ
饗賓餐旅集団は、饗食天堂のほか、四川料理の「開飯川食堂」、ベジタリアンビュッフェ「果然匯」、タイ料理の「饗泰多(Siam More)」、アメリカンレストランの「大口吃」、ステーキハウス「Doricious」の6ブランドを展開しています。
17年6月には、饗食天堂の新コンセプト店舗「インパラダイス饗饗」を微風信義(ブリーズ信義)の46階にオープンしました。台北101を眺めながら食事できる最高級ビュッフェで、平日夜は1人1,590元、休日夜は1,790元(別途サービス料10%)です。読者の皆さまも、足を運んでみてはいかがでしょうか。
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