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乖乖(クァイクァイ)公司は、台湾の国民的スナック菓子、「乖乖」の発売元です。前身を「東大製薬廠」といい、創業者の廖金港氏が1968年に菓子製造メーカーを目指して「東大聯合股份有限公司」に改称。翌69年、12歳以下の児童をターゲットとしたコーンスナック菓子「乖乖」を発売します。「乖乖」は「きき分けのよい子」という意味で、廖金港氏が製品名として採用したのは、子供は本来従順であるべきと考えていたためです。
TSMCとの提携パッケージは、乖乖の「生産ラインの守り神」のイメージの結晶といえるでしょう(YSN)
乖乖は「乖乖乖、棒棒棒」(クァイクァイ、すごいすごい)という覚えやすいCMソングによって、60年代から80年代にかけて台湾で最も人気のあるスナック菓子となりました。二本歯のキャラクター「乖乖人形」は有名で、60年代に人気を呼んだ伝統人形劇「布袋戯(ポテヒ)」の登場人物「哈嘜二歯」をモデルに、メキシコ風の大型帽子を被せたものです。乖乖はまた、台湾のスナック菓子で初めて、アニメキャラクターのシールやプラスチック製のおもちゃをおまけに付けたことでも知られています。廖金港氏は2013年に91歳の高齢で亡くなり、第2代の廖明輝氏が董事長の座に就きました。
生産ラインの「守り神」に
「乖乖」には「言うことをよく聞く」という意味のため、生産設備が思い通りに動くよう、機械の上に乖乖を置く願掛け製造業界で流行します。その際、乖乖のパッケージは、「正常運転」の色であるココナツクリーム味の「緑」であることが必須で、「要注意」や「不正常」の黄色や赤は論外でした。しかも、開封して食べてしまうと設備に異常が起きるため、袋を開けることはご法度という言い伝えが生まれました。
「本当に問題が起きるのかは分からないが、そうしたうわさは確かにあった」と、今でも多くのエンジニアが証言しています。迷信と片付けるのをためらう心理から、コンピュータールームには一応乖乖を置いて安心していたというケースもあったということです。
ある生命保険会社では、突然機械が故障したものの原因が分からず、調べて分かったのは機械に供えていた乖乖の賞味期限が切れていたことだけでした。そこで乖乖を新品に交換してみると何と故障が直ったそうです。こうした話が広まった結果、今でもコンビニエンスストアの現金自動預払機(ATM)や、通信会社のコンピュータールームに乖乖が置かれている光景を見ることができます。
TSMCと提携パッケージ
時代が下り台湾でも海外ブランドのお菓子が増えていきました。乖乖は若い消費者から選ばれ続けるためのイメージアップが課題となりました。
そこで乖乖公司が思いついたのが、企業との提携パッケージです。最初にターゲットは誰もが知るファウンドリーの大企業、台湾積体電路製造(TSMC)でした。TSMCは2016年2月の台南地震で、南部科学工業園区(南科)14A工場が被害を受けましたが、エンジニア300人余りが支援に駆け付けた結果、予定よりも早く復旧できました。
TSMCは彼らを慰労するため、台湾で「エンジニアの日」に当たる6月6日に、緑色の乖乖5,000パッケージを注文しました。表面にはTSMCの企業ロゴと14A工場のマスコットのクロツラヘラサギが描かれ、「君に1袋、僕に1袋、機械は乖乖で故障なし」の標語が添えられました。この特製乖乖は社員から大好評を得ました。
乖乖公司は同年、台東県関山鎮の農会(農協)との提携で、地場米を材料にした「米乖乖」も生産。1,200箱分を販売期間半年の想定で生産したところ、わずか4日で売り切れとなりました。その後も、電子納税を呼び掛ける標語を入れた国税局との提携パッケージや、桃園機場捷運(桃園空港MRT=都市交通システム)の開通記念パッケージを出し、そのたびに話題を呼びました。
乖乖が誕生して来年で満50年。乖乖は台湾人の心に深く刻み込まれたスナックブランドといえるでしょう。第2代董事長、廖明輝氏のリーダシップの下、輝く老舗は新たなブランド価値を創造しています。
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