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「17直播(17ライブ、イチナナ)」は、簡単な操作でいつでもどこでもライブ配信が楽しめる、台湾発のライブ配信アプリです。ユーザーはライブ配信者(ライバー)として、17ライブを舞台に▽特技▽アイデア▽グルメ▽旅行▽メーク▽ペット──などを披露できます。また観客(オーディエンス)として、ライブ配信を見るだけでなく、コメントすることもできます。
17ライブは今や▽台湾▽香港▽日本▽シンガポール▽マレーシア▽韓国▽インドネシア──に拠点があり、6カ国語に対応。ユーザーは全世界5,000万人以上です。
17ライブを運営する17メディアの創業者、黄立成(ジェフリー・ホワン)氏は、「麻吉大哥」の別名を持つ芸能人です。1972年に雲林県で生まれ、家族と共に2歳で米カリフォルニア州に移住しましたが、90年代に台湾に戻り、ヒップホップグループ「L.A.Boyz」を結成し、若者に大きな影響を与えました。
発信者が収入を得る仕組み
黄氏は当初、友達探しができるマッチングアプリ「麻吉」を考えていましたが、すぐに飽きられると思い、フェイスブック(FB)とは違ったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)アプリに方針転換しました。
フェイスブックは、ユーザーのコンテンツでもうけているのに、ユーザーは稼げません。そこで黄氏は、良い内容の情報を発信すれば、より収入が得られるプラットフォームにしようと考えました。そうすれば、内容がますます良くなるからです。
2015年、このアイデアを実現した17ライブが台湾で誕生しました。17ライブという命名は、17が黄氏のラッキーナンバーである他、中国語の発音「イーチー」が「一起(一緒に)」や「義気(義理堅い)」と同じことから思い付きました。インターネット社会で、いつでもどこでも、アプリを通じて人々が集い、距離感を縮められるという意味が込められています。
登録殺到でサーバーダウン
17ライブはリリース当初、黄氏とつながりのある芸能人が多く登録し、そのファンが追随したことから、ユーザー数が爆発的に増加。2週間で3回もサーバーがダウンしました。
黄氏は当時について、「芸能界の友人100人に電話をかけ、登録をお願いしただけで、翌日ライブ17のユーザー登録に3万人が殺到し、サーバーが落ちてしまった。エンジニアに連夜、対応を依頼しても、次の日にはまた3万人が押し寄せてサーバーがダウンするという繰り返しだった」と振り返ります。
17ライブはリリース後すぐ、アップルの「iOS」対応の無料アプリランキングで、台湾の首位を獲得しただけでなく、▽米国▽中国▽香港▽マカオ▽シンガポール▽マレーシア──などでも首位に輝きました。
ところが、ユーザー増加に伴い、▽性行為▽自慰▽児童ポルノ▽薬物の吸引──など、違法なライブ配信が相次ぎました。当時はユーザー700万人に対し、わずか9~14人が交代で管理していたため手に負えず、その結果、アップルのアプリストア「App Store(アップストア)」とアンドロイド向けの「Google Play」の両方でアプリの提供が停止されました。
そこで黄氏は、わいせつ、暴力など違法行為を配信したアカウントを全て閉鎖。最新版のアプリを再度提供し、24時間体制で監視を行うようにしました。
日本でも人気
17メディアは17年、シンガポールのマッチングアプリ「パクトル(Paktor)」を合併し、親会社となるM17エンターテインメントを設立しました。傘下に17ライブ、パクトルの他、▽マッチングアプリ「Goodnight App」▽「Machi E-Sports」──などの7つのブランドを収めました。
一方、M17エンターテインメントは今年6月、ニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場を発表したものの、株式の売買が成立せず、3営業日後に上場を撤回する不測の事態にも直面しました。
17ライブによると、台湾のライブ配信者は女性が80%を占め、配信内容はトークが多いという特徴があります。サービス開始から1周年を迎えた日本では、ライブ配信者は男女半々で、歌やお笑いなどのパフォーマンスが中心です。日本では8月に、超人気バーチャルライバー「神楽めあ」のライブ配信を実施したところ、1時間で観客が延べ18万人を突破するなど、大成功を収めました。
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