コラム

記事番号:T00081098
2018年12月21日15:45

 自動車大手、裕隆集団の董事長兼執行長だった厳凱泰(ケネス・イエン)氏が12月3日、食道がんで死去しました。53歳でした。

 厳凱泰氏は1965年生まれで、裕隆集団の唯一の後継者でした。14歳で米国に留学、24歳で台湾に戻り、首席副総経理に就任。25歳で正式に2代目として後を継ぎました。30歳の時に台湾生産車として導入した日産セフィーロは、爆発的にヒットし、「中興の御曹司」の代表作と呼ばれました。

 詳細は「第34回 裕隆集団執行長 厳凱泰氏」をご覧ください。
https://www.ys-consulting.com.tw/column/10187.html

 厳凱泰氏は生前、家族経営を廃して専門経営者に委ねるなど、企業統治(コーポレートガバナンス)体制の整備にも尽力しました。

 裕隆集団は、年間売上高3,000億台湾元(約1兆900億円)以上、総資産4,000億元を誇る大企業グループとなり、自動車だけでなく、紡織、不動産などにも進出し、傘下の上場企業は7社。台湾、中国、東南アジアなどに従業員3万人を擁しています。

ラクスジェンへの熱意

 厳凱泰氏は、父で裕隆創業者の厳慶齢氏から「台湾ブランド車を生産する」という遺志を受け継ぎ、2009年に自社ブランドの「LUXGEN(ラクスジェン)」を立ち上げました。

 厳慶齢氏は第2次世界大戦以前、ドイツに留学。当時ドイツは、第1次世界大戦で英国・フランスの同盟軍と敵対し、包囲された経験から、生産を全て自国で行うことを重視し、特に、点と点、面と面をつなぐ交通を最重視していました。これに影響を受けた厳慶齢氏は、自動車産業発展が非常に重要だと認識。上海から台湾へ移住して紡績業で身を起こした後、53年、裕隆汽車製造(ユーロン・モーター)の前身である裕隆機器製造を創業し、「エンジンで国に報いる」を理念に、自動車産業の発展に尽力しました。

 ラクスジェンは設立後10年、販売が思わしくなく、既に100億元近い損失を出しています。しかし厳凱泰氏は、「私の命とラクスジェンはイコールで結ばれている。父母から引き継いだ台湾ブランド車を作るという使命を全うし、まず中国から市場を開拓する」と語るなど、ラクスジェンに対し、並々ならぬ熱意を抱いていました。

大切な3人の女性

 厳凱泰氏には、生涯で最も大切に思う女性が3人いました。

 1人目は母の呉舜文氏です。81年に亡くなった夫の厳慶齢氏に代わり、裕隆集団を引き継ぎました。経営手腕は夫に負けておらず、「鉄娘子(鉄の女性)」「ナンバーワン女性実業家」「自動車業界の母」などと呼ばれました。

 2人目は妻の厳陳莉蓮氏です。元はバスケットボールの台湾代表選手で、裕隆集団傘下のチームに所属していました。厳凱泰氏のことを当初、「グループの坊ちゃん」という特権を使い、女子バスケチームに試合を挑む気に食わないヤツだと思っていました。その後に誤解が解け、長い交際期間を経て結婚しました。厳凱泰氏の死後は、厳陳氏が裕隆集団の董事長兼執行長に就任しています。

 3人目は娘のミシェルさんです。厳凱泰氏は40歳の時に生まれた娘を、掌中の珠のようにかわいがっていました。「パパ、もうたばこ吸っちゃ駄目よ」と言われ、禁煙したほどです。

アルマーニを愛用

 厳凱泰氏は生前、自分の憧れの存在はブルース・リー(李小龍)と映画「007」のジェームズ・ボンドと言っていました。

 ブルース・リーから学んだ勇敢さ、大胆不敵な精神が厳凱泰氏のポリシーとなり、試練やプレッシャーに立ち向かう助けとなりました。一方、ビジネスシーンでは、意思決定を下したらスピーディーに、容赦なく、確実に行動。部下を疑わず、自分以上に信頼していました。

 また厳凱泰氏は、ジェームズ・ボンドのようにおしゃれでした。フォーマルな場ではオーダーメードの黒いアルマーニのスーツを着用し、「かっこいい社長」というイメージを人々に与えました。ここぞというときには、スカーフを合わせるなど、優雅なファッションは注目の的でした。厳凱泰氏は大のアルマーニファンで、傘下の嘉裕(カーニバル・インダストリアル)をアルマーニの台湾総代理店にしたほどです。

 カジュアルシーンでは、黒いTシャツに、ダークグレーのジーンズなど、リラックスした装いで過ごしていました。

 

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荘建中

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シニアコンサルタント

難しい事をわかりやすく伝えるプレゼン力はワイズNo.1、毎年セミナーや研修で200回/年を越える講演を行っている。